昭和方丈記さんから投稿頂いた「再婚した母、その相手とは」。
私は、あと数年で、ようやく定年を迎える地方の木っ端役人、
あまり面白い話しでもないが、私の備忘録としても、こちらで残していただこうと思い、
個人情報など差し障りの無い範囲で、頭の整理をしつつ簡単に書き残すことにした。
母(桂子)が家を出たのは、小学3、4年の頃だったと思うが、今、正確に思い出せない。
祖父母と父からは、母は少し体調を崩しているので実家に戻って静養している、
そのうち戻ってくるから心配するな、と言われていたので気楽に考えていたからで、
悲しさとか寂しさは、ほとんど感じることはなかったと記憶している。
小学校の卒業式を終え、中学入学前の春休みに、祖母から母と会う様に言われ、
隣町の喫茶店まで送ってもらい、そこで私ひとりで会った。
入学祝をもらった以外、何を話したのか全く覚えていないが、多分、30分くらい面会した。
唯一、記憶に残っているのは、母のお腹が、かなり大きくなっていていたことである。
子供の私でも妊娠していることが、すぐにわかった。
そのことに、母は何も触れなかったが、父の子でないことはわかっていたので、
父母は離婚していて、母は再婚し、新たな相手の子種を宿していることを初めて知った。
母は23歳で私を産んでいるので、この時、35歳になっていたと思う。
3年後、中学卒業し、高校入学前の春休み、先回と同じプロセスで母と面会した。
母は38歳になっていたはずだが、なんと、またお腹が大きくなって妊娠していた。
さすがに驚いた。母は妊娠のことは一切語らず、誰と、どこでどんな生活をしているかなど
全く教えてくれなかったし、私も聞かなかった。
3年後、高校卒業し、役所に勤め出す前の春休みも母と面会した。
結果的には、これが最後の面会になった。
この時も母は自身のことを何も話さなかったが、「まだ子供が小さいから、毎日大変」と、
ポロっと発した時、うれしそうだったし、身なりも、きちんと化粧していて、
左手薬指には結婚指輪、腕時計、バッグも高価なブランド品に見えたので、
再婚相手は、それなりの方かなとは感じた。
私も18歳になっていて、前2回とは違い、冷静に落ち着いて面会、観察できたので、
こんな形式だけの面会を、いつまで続けても互いに意味はないと思い、
私から、これで面会は最後にと申し出た。母も、一瞬、ホッとした表情をみせたので、
今振り返ると、ここで親子の縁が切れたのだと思う。この時点で、母は41歳だった。
家を出た時、33、34歳で、その頃の容姿は、ほとんど覚えていなかったが、
面会する度に、間違いなく綺麗になっていて、誰と会っているのか実感もわかなかった。
母も私に対して、同じだったと思うが。
ここまでは、世間でも、別に珍しいことではないと思う。
2年後、仕事や生活も慣れ、貯金もでき精神的にも落ち着いてきたので、
祖父母と父には秘密に、思い切って興信所に母の身元調査を依頼した。
調査時点で母の再婚相手は63歳のT氏であり、母の実家と同じ市内で、
地場産業の会社を経営している社長だった。
母は43歳になっていたから、Tは20歳くらい年上になり、かなり驚いた。
会社といっても従業員10名足らずの個人企業でTが開業後、ずっと社長をしていた。
報告書を見ながら、興信所の調査員から「Tは若い頃、かなりヤンチャしていましたね」、
「背中全体に刺青が彫ってあります」など、次々と、とても書けないことも説明された。
2度離婚していて母とは3度目の結婚、20歳で初婚、長女(麻紀)と息子2人をもうけ、
母とも、ほぼ同世代で40手前になっていた息子2人はTの会社で働いていた。
そして、「Tの娘の麻紀と、あなたのお母さんは高校時代からの親友で、おそらく、
あなたのお母さんはTとも高校生の頃から面識があったと思いますよ」と、言われ驚いた。
人間関係がよく整理できないまま、少しずつ思い出していた。
言われてみれば、この女は、私の実家に来たことがあった様な記憶があり、
母が「麻紀ちゃん」と、よく言っていたことも思い出してきた。
「おそらく、Tは麻紀からあなたのお母さんが離婚したことを聞いたか、
あなたのお母さんからTと麻紀に離婚の相談をしたんでしょう。
そんなことから、Tが手を付け妊娠して、籍を入れたと思われます」とのことだった。
T55歳、桂子35歳で再婚、すぐ男の子が産まれ、この時には小学3年生に、
T58歳、桂子38歳の時には、次男が産まれ、この時は幼稚園の年長になっていた。
麻紀もTの会社で事務員として働いているので、毎日、お母さんと子供たちと顔を合わせ、
楽しく暮らしていますよとも伝えられた。
親友が自分の父親と結婚し、その子供たちと遊んでいると聞かされ、現実を悟った。
そして最後に調査員から、こんなことも言われた。
「息子さんの前で言うのも何ですが、Tは、お母さんが女子高生の時から狙っていたかも
しれませんよ、ひょっとしたら、その頃に、もう男女の関係があったかもしれませんよ。
Tみたいな男は、狙った女は、どんな手を使っても必ずものにしますからね。
でも、今、桂子さんは贅沢させてもらって幸せに暮らしているのだから息子さんとしても、
これで良かったと考えた方が良いと思いますね。これから先、Tと桂子さんの前に、
あなたが現れれば、面倒なことになるだけですよ」と。
あれから40年近く経って、私は当時のTの年齢になった。
存命なら桂子は80歳を超えているが、一度も会っていないし、連絡もない。
父は8年前に亡くなった。最後まで母が再婚したことは知らなかった様子だった。
興信所でTと母のことを聞いた頃、正直、まだ世間知らずだったが、齢を重ね今思うと、
財力に長け、世の裏も表も知り尽くしたTが出戻りの素人女を自分の女に落すくらいは、
たやすいはずで、その道で極めたテクニックで、もっと露骨に言えば、長年、
使い込んだペニスだけで、30代半ばの女体は、毎晩、イキ狂わされたのは間違いない。
逆に、女が男に尽くす術もプロ級になるまで、一から徹底的に叩き込まれただろう。
むろん、Tは亭主として当然のことをしただけなので、責められることは何もないが。
そして、その産物である二人の異父弟も、もう40代になっているはず。
兄弟で会社を引き継いでいるかもしれないが、私が死ぬまで会うことはないだろう。
ちなみに、私も離婚経験をして、今は訳ありセフレと交際している。

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