あれは忘れもしない18の夏のこと通信制の高校に通ってた俺は、授業が2時間ほどなくて暇つぶしに体育館でバスケをしてた。通信制だけど一応部活もあってバスケ部に所属してたからちょうどいい暇つぶしになるんだよね。
5分も動けば汗だくになってんだけどそんなの気にせずにシューティングをしてたら後ろから声をかけられた。
「あのー、バスケ部の方ですか?」
俺「あ、うん」
同年代くらいの女の子だった。(名前は彩とする)彩の第一印象は別にどこにでも居る女の子って感じだった。ただ校則もない学校だから明るい茶髪に派手なメイクが印象的だったくらい。
彩「女子バスケってあるんですか?」
俺「一応あるらしいけど、人数が足りてないんじゃないかな・・・」
彩「そうですか・・・あ!良かったらちょっと1対1しません?」
俺「俺はいいけど」
俺がそう言うと彩は嬉しそうな顔をしてカバンからバッシュを取り出して履いた。ぶっちゃけ女子とバスケするのって嫌いだったからモチベーションはだだ下がり。接触の多いスポーツだから気まずいんだよね。テキトーにやり過ごせばいいや、なんて思ってた。
彩「じゃあやりましょうか!」
結果はというと俺の惨敗、もう話にならなかった。
攻めても守っても彩の方が1枚も2枚も上手。ぶっちゃけ小、中とバスケやってて市の選抜に選ばれたりしてたから下手な方ではないはずなのに歯が立たなかった。
彩「ありがとうございました!あー、楽しかったww」
俺「めっちゃ上手いんだね」
彩「そんなことないですよー!やっぱり女子とやるのやりにくいと思うしww」
俺「いや、途中からは本気の本気ww完敗だよ。良かったら名前教えてくれる?」
彩「彩だよ!また顔合わせたらよろしくね」18の夏、彩に惚れそうになった俺がいた。
バスケが出来る女の子って無条件で可愛く思えるんだよねwwあとプレー中にふれたおっぱいが柔らかくてたまらなかったwwww
スペック書いとくね。
俺当時18の高2妻夫木に似てるらしい178?、65?
彩当時18の高1平愛理に似てる150?くらい?体重は知らん
それから何回目かの部活の時に、まだ2歳くらいの子を連れて部活に現れた彩wwww俺も含め部活のみんなびっくりww
先輩「え、子供いたの?ww」
彩「はいww2歳になるんですよー」
うちの高校じゃ子供連れて高校に来る子は結構普通に居るんだよね。それでもまさか彩に子供が居るとは思ってなかったww
俺「子供居たんだねー。びっくりしたww
彩「びっくりさせてごめんねww」
俺「いやー、しかし母親似で可愛い!」
彩「なに?wwお世辞のつもり?ww」
その日から娘ちゃん(楓とする)は部内のアイドルになってコートの隅っこで楽しそうにボール遊びしてたwwwwいやね、もうほんと目がくりくりで可愛いんだwwそこからは女バスの方も人数が集まったみたいで大会に一緒に出たりとかした。
女バスは県大会で表彰されるくらいまでレベルをあげていて彩はその大会でMVPとったりしてたwwもちろん学校のある日の部活で顔を合わすくらいで進展は0。
季節だけがいたずらに過ぎていった。連絡先は聞いたけど個人的に連絡こともほとんどなかった。分かったことはもう×がついていることくらい。
それでもやっぱり意識はしてた。別に×があることとか子供がいることは気にならなかったんだよね。俺自身もDQNだったし周りもそうだったからそういうのに抵抗がなかったんだと思う。
季節は流れて19歳の11月の終わり、大学も決まって卒業もほぼ確定した頃。部活も最後の大会が終わって引退が決まったんで、打ち上げをすることになった。男バス部員6人と彩とで鍋を食べに行くことに。
まさに荒野に咲く一輪の花状態の彩wwあとあと聞けば部員の内、俺を含めて4人も彩のこと好きだったらしいww彩テラアイドルwwあっちゃんもビックリの一強wwある程度腹もふくれてきて打ち上げもお開きになって、それぞれ帰路についた。
みんなそれぞれ家の方向が違ったんだけど運良く俺は彩と同じ方向ww指くわえて見てた彩ファンざまあww
俺「途中まで一緒に帰ろっか」
彩「うん!お持ち帰りとかやってないからねww」
俺「誰がするかww」
確かこんな感じの話をしながら、歩幅の狭い彩にあわせて歩いてた。狭い歩道だったんでちょいちょい当たる手がやたら愛おしかった。
彩「今年で卒業だよね?」
俺「うん、今年で終わり。じゃないと大学の入学金がパーになるww」
彩「寂しくなるなー。私はあと1年かかるのに」
俺「また思ってもないことをww」
彩「ばれたかーww」
俺「この小悪魔ww」
なぜかこの後急に訪れる沈黙。なにか話さなきゃなー、と思ってたら彩が先に口を開いた。
彩「このあと暇?」
俺「まぁ暇っちゃ暇だよ」
彩「このあと家来る?今日誰も居なくて暇なんだよねww」
もう頭のなかはこれなんてエロゲ?状態ww付き合ってもない女の実家に行くなんて考えたこともなかったし。あれ?こいつビッチ?とか考え出す始末wwそもそも子供は?ってかなりテンパッてた。
俺「いや、なんか悪いし…」
彩「外見に似合わず意外に意気地無しなんだねww」
俺「うるせー。行けばいいんだろ」
なんか上手いこと乗せられた感満載になりつつも家にお邪魔することになった。どうやら楓は託児所に預けてたらしく途中で迎えに行った。
楓「ママ〜!」
彩「ごめんねー、お待たせ!」
楓「あ、だむだむのおじさんww」
ちなみにだむだむ、とはバスケのことらしいですwwというかおじさんって…ww
彩「こら、楓。おじいちゃんでしょ!ww」
楓「おじいちゃんおじいちゃんww」
俺「ぐぬぬ…」
それでもおじいちゃん頑張って肩車とかしてあげたらめっちゃ喜んでくれてこっちまで嬉しくなったww
彩「めっちゃ懐かれてるじゃんww」
俺「不思議と昔から老人とちっちゃい子には懐かれるんだよ」
彩「それでも楓が人見知りしないなんて珍しいよ」
俺「へー。ちょっと嬉しいかもww」
楓「おじいちゃん、くちゃい!」
俺「…好かれてはなくね?」
彩「wwww」
家に帰ってからは特に何もなくて楓が寝るまで遊んであげて、あとは彩と話してただけ。明け方近くまで互いのことを色々話してて急に彩が喋らなくなって見てみると寝てたwwなんたる速さ。
毛布あげて、なんとなく彩と楓の寝顔を見てるとほっこりと温かい気持ちになったのを覚えてる。朝からバイトだったから寝ることもできず寝ている彩と楓を起こさないように、静かに家を出た。不思議とその日を境に学校以外でも会うことが増えた。
遊園地、動物園に行ってみたり映画も行った。嬉しそうにはしゃぐ楓とそれを見て微笑む彩。彩と楓と3人で歩いてると家族と間違えられたりしてそのことに喜んでる俺がいた。
両親の顔も知らずに育ってきたからなんかこういうのも悪くないなって思ってた。家族とかってこういう感じなのかなって。その反面付き合うことはないって割り切ってた。
というものの俺は春になれば大学生になるわけで少なくとも4年間は今までみたいにがっつり働くことも出来なくなる。やっぱり子供がいれば将来うんぬんより現実を見なきゃならないことくらい俺にも分かってたつもりだった。辛いと言えば辛かったけどそれよりも彩と会えること、楓と喜ぶ顔が見れることが嬉しくてこんな関係がこのまま続けばいい、なんて思ってた。
1月のある日、夜中に彩から電話があった。
彩「話あるんだけど、今から会える?」
俺「行けるよー。家着いたらまた電話するよ」
急にどうしたんだろうと思いながら、車で15分ほどの距離を行く。彩の家の近くにあるコンビニに着いてメールするとすぐに彩が来た。彩は車に乗り込むと寒い寒い言いながら手を擦りあわせてた。
俺「どーしたよ?」
彩「うん。取りあえず来てくれてありがとうね!」
なかなか事の核心を話そうとしない彩。
雑談しながら時間だけが過ぎて30分ほど経った頃、彩が深呼吸をして話を始めた。
彩「あのね、今から独り言言うからなにも言わずに聞いてね」
俺「分かった」
彩は窓から遠くを見て、淡々と話し出した。すごく悲しそうな横顔だったのを覚えてる。
彩「なんかシュン(俺)と居るとさ、理想だった幸せの家族?ってのが現実になりそうでさ。だんだん惹かれていっちゃうんだよね。楓も次いつシュンに会えるのかとか聞いてきちゃう始末。でも俺は今年から大学生になるわけでおそらく1番楽しい時期を迎えると思う。それを邪魔したくないし、負担にもなりたくないの。だからもう会うのやめよっか」
確かこんな感じだったと思う。なんとなくこうなることは分かってた。彩は喋り終わった途端に嗚咽と共に泣き出して、つられて俺も泣きそうになった。付き合うことはないって頭で理解してても、やっぱり心はそうじゃなくて。
確かに楓も含めて彩のことが好きになってた。なにか言わなきゃ、って思えば思うほど言葉にならなかった。ただ車の中は彩の泣く声だけでもうどうしようもないくらいに苦しくなった。
彩「今までほんとにありがとね!じゃあ…」
俺「あ…」最後までなにも言えなかった。
彩は車から降りて、振り向くこともなく家の方へ向かっていった。彩が見えなくなってから、一気に涙が溢れ出てきた。もう女々しいったらありゃしないww割り切ってた俺はどこにいったんだwwwwもう当然、車なんて運転できる状況じゃなかったから迷惑になるのは覚悟でコンビニの駐車場で2時間くらい泣いてた。
途中で通報されたのか知らないけど、警察のお兄さんに職質されたよww3時くらいにやっと落ち着いてきて、家へと車を走らせた。家に帰ると同時に心にぽっかり穴があいたような、そんな虚無感に襲われた。彩と会わなくなって、俺はもぬけの殻のようになってた。
ただバイトして、寝て食べて。たった1人の人をなくすだけで、こんなに虚しくなるなんて初めてだったから本当にどうしようもなかった。そんなあるとき、学校の先輩から電話があった。
俺「はい」
先輩「今日暇か?」
俺「バイトが終わった後なら」
先輩「じゃあ飲みに行こう!バイト終わったら連絡くれよ」
俺「いや…」…切れた。
乗り気ではなかったけど、気分転換になればいいかと思いバイトが終わってから先輩と合流して居酒屋に入った。取りあえず生中2杯頼んで乾杯した。ちなみにこの先輩とは高校入ってからの付き合いで同じ夢を持って頑張ってたから、もう友達みたいな感じ。
最初はもうすぐ卒業だなーとか他愛もない話をしてたんだけど饒舌だった先輩の口数が急に減って、真顔になった。
先輩「彩ちゃんに振られたんだってなー」
俺「なんで知ってんですか」
先輩「俺の情報網を舐めてもらっちゃ困るww」
俺「振られるもなにも付き合ってすらないよ」
先輩「でも惚れてんじゃん?」
なんか傷口をえぐり返されたような気持ちになった。イライラとはちょっと違うんだけど、それに近いような気持ち。
俺「惚れてたらなんなんですか」
先輩「怒るなよww」
俺「好きだけじゃだめだったんです」
先輩「んで諦めた?」
俺「…はい」
なんか会話の1つ1つがじれったかった。先輩がなにが言いたいのか分からなかったしなにを聞きたいのかも分からなかった。
先輩「じゃあうじうじすんなよ。好きなら好きでいいんじゃね?将来のこととか考えられるほど、まだ大人じゃないだろ。お前が彩ちゃんのことが好きなら伝えればいいじゃん。付き合う付き合わないはその後の話だろ」
急に先輩がぶわーってしゃべり出した。普段、酒を飲んで性格が変わるような人じゃないので驚いて「でも」とか「いや」とか繰り返してた。
先輩「実はな、彩ちゃんに相談されたんだよ」
俺「え?」
先輩「どうしていいか分からん、って。お前と同じようにうじうじしてお前と同じように諦めたって言ってた。片想いで終わったって」
最初から知ってたんだ、って思うとなんか冷静になれた。
先輩「このまま終わっていいの?好きなんだろ?じゃあ腹もふくれたし帰るわww」
そう言って先輩は会計をしにレジに行ってしまった。上着着て即行で居酒屋を出て先輩に追いついた。
俺「ちょっと行ってきます!」
先輩「おまww今度飲むときおごれよー!」
ちなみにこの後なぜか3回もおごらされました。
鬼めww電車で彩の地元まで行った。1分1秒が待ち遠しくて、どうしようもなかった。彩の家の近くまで行き、深呼吸して電話する。比較的早くに彩は出た。
彩「もしもし…?」
俺「急にごめん、今から出てこれる?」
彩「うん。どこ行けばいい?」
俺「コンビニで」
多分うまく喋れてなかったww5分もしないうちに彩が来てくれて、たった2週間会わなかっただけなのになぜかすごく久しぶりな気がした。
俺「久しぶり、」
彩「うん。てか、お酒くさいww飲んできたの?」
俺「ちょっとね」
彩「で…どうしたの?」
取りあえず気持ちだけ告げようと思った。深呼吸を何回かしたけどもう心臓がね、破裂しそうだったよww
俺「俺、彩のことが好きだ。やっぱり楓のこと考えたら今がしっかり見えてた方がいいと思うしちゃんとしたパパを作ってあげるべきだと思ってた。でもやっぱだめ、彩のこと好きになってて簡単に割り切れそうにない」
彩「え…」
俺「俺、親の顔とか幸せの家族?とか全然知らないからさ彩と楓と色んな所行ってすっごい楽しかった。もしかしたらこれがそうなのかな、って思った。もし同じ家族を想像してたなら、俺で良かったら付き合って欲しい。大学生になっても頑張るからさ」
もう自分でもなに言ってるのか分からなくなってたww今考えたら高校生が、しかも大学生になろうかと言ってるやつがなに偉そうにモノ言ってんだって話だよねww良くも悪くも若かったな、って今になって思うよ。彩の顔はもうぐちゃぐちゃで見れたもんじゃなかったww
彩「それでいいの?絶対に負担になる日が来るよ?」
俺「さすがに養うとは言えない。けど力合わせればやってけるって信じてる」
そう言うと彩は何回も頷いた。
泣いてるのか笑ってるのか分からないような顔で
彩「これからもよろしくね」
それを聞いた途端に居ても立ってもいられなくなって彩のことを抱きしめてキスした。彩とした初めてのキスの味は、しょっぱかったですww
彩「おじいちゃん、くちゃいww」
俺「うるせーよww」
ちょっとの間話だけして彩を送って俺も家に帰った。帰りに飛び跳ねながら帰ったのを覚えてるよww春になって大学生になった。
進学先は県内だったから引っ越しする必要もなく、のほほんと過ごしてた。ところが周りは驚くような早さで大学生活に馴染もうとしていた。ちょっとついていけないなー、なんて思っていると俺にもサークルの勧誘が驚くほど来る。
大学に行ってもバスケはしたかったんだけどサークルに入れば彩と楓と過ごす時間も限られてくるしなるべくバイトしたかったから、やんわり断り続けてた。入学してしばらく経った頃に彩と楓とで花見に行った。
彩「大学はどう?」
俺「なんか雰囲気がすごい」
彩「サークルは?バスケするんでしょ?」
俺「いや、今のところ断ってる」
彩「どうして」
俺「いやー、お前らとの時間なくなるの嫌だし、バイトもしたいし…」
彩「そんなの気にしないでいいよww私はシュンが好きなことやってるのが1番嬉しいからさ!」
結局その一言でサークルに入ることにした。と言っても、週に2回くらい活動してるゆるーいバスケのサークルにした。たまに彩が大学に来て、バスケしてる俺を見に来ることがあってもうその日はプレイさえまくりwwこのサークルでも楓はアイドルでしたww夏になってうだるような暑い日が続いていた。
その日は仕事が休みだった彩が楓を連れて家に来ていた。妙に家に来てからそわそわしている楓。というかここ最近ずっとそわそわしてて不思議だった。
彩「楓?どうしたの?」
楓「なんでもない」
彩「ほんとに?」
楓「うん」
こんな押し問答がずっと続いてて挙げ句の果てに俺の近くを行ったり来たりしだした。
俺「どうした?遊びに行きたい?」
楓「違う」
俺「お腹が空いたの?」
楓「違うもん!」
なぜか怒られたww
まさか初潮か!?とかバカみたいなことを考えていると今度は俺を叩きだす楓。
俺「こら。人を叩いたらだめでしょ」
楓「パ…」
俺「ん?」
楓「パ……パ」
俺&彩「あ…!」
2人で顔を見合わせたよねwwもうこの時は本当に驚いた。彩と付き合うってなったときにパパって呼ばすのは俺が大学を卒業してからにしようって決めてたからまさか楓の方からパパと呼んでくれるとは思ってなかった。そわそわしてたのはそのせいかと納得した。
俺「楓…パパって言ってくれた?」
楓「パーパー(´∀`)」
もうそこからはパパの連呼ww多分ずっと言いたくて言えなかったんだろうなって思うと気付いてやれなくて申し訳ない気持ちにもなった。でもそれ以上にパパって呼ばれたことが嬉しくてこれからもっと頑張らなきゃって背筋が伸びる思いがした。楓がパパって呼んでくれた日からしばらく経った頃。お盆のまっただ中だった。
彩から着信があったので普通に出た。電話越しから聞こえるのは男の声…why??「おいこら」なにこれ怖い。
俺「すいません、どちら様でしょうか」
?「お前の女の父親じゃー!」
俺「え?え?」
彩父「世間は盆だぞ。挨拶くらいにこんのか」
俺「はぁ…」
彩父「じゃあ待ってるからな!絶対来いよ!」
なんだよこれ…。でも1度も挨拶に行ってなかったのは確かだったしすぐに準備して家を出た。彩の家に着いて呼び鈴を押す。ピンポーン…鳴らした途端に家の中からすさまじい足音がするww
彩父「電話のやつか?」
俺「そうです。挨拶が遅れてすみませんでした」
彩父「取りあえずあがれよ。あ、首は洗ってきただろうな?ww」
ほんとなんだよこの人…。家に上がると階段の所から彩妹が俺のことにやにやして見てた。彩妹と会うのは3度目だったので軽くあしらってリビングへ。
彩父「まぁ、ここ座れ」
俺「はい。あ、これつまらないものですけど…」
一応菓子折持って行ってたからそれを彩父に渡す。
彩父「なんだ酒じゃねーのかww」
くそwwwwただ第一印象は楽しそうな人だなーと。多分気遣って同じような目線で話してくれてた。
俺「娘さんとお付き合いさせてもらってます、シュンといいます。挨拶が遅れて申し訳ありませんでした」
彩父「堅苦しいのはなしにしようやww」
そう言って彩父は冷えた麦茶を入れてくれた。相変わらず彩妹はリビングのドアの向こう側からこっちを覗いてるww
俺「そう言えば彩は…」
彩父「あー、あいつ買い物行ったよww急に呼んですまんな。どうしても顔が見てみたかったんだww」
俺「いや、俺もいずれは行かなきゃとか思ってたんで」
どうやら俺は彩父の独断で呼ばれた模様。
彩父「今、大学生だってな?」
俺「はい」
彩父「まぁ、気負わず付き合ってくれたら俺は嬉しいよ。ただ中途半端なことはすんなよ」
俺「はい」
そんなこんなで話していると彩と楓が帰ってきた。
彩「ただいまー…ってなんでシュンがいるの?!」
俺「いや、お父さんに呼ばれた…」
彩父「お前にお父さんと呼ばれる筋合いはないww」
楓「じいじ、パパいじめちゃだめ!」
なんのこっちゃwwこの日は晩飯もよばれて、彩父の晩酌に付き合うことになり結局泊めてもらうことになった。彩父の好意で俺はリビングのソファーで寝かせてもらった。彩父曰く、彩の喘ぎ声は聞きたくない、だそうだ。
それからは驚くほど色んな事が順調に進んだ。楓は大きな病気をすることもなく成長していってくれてどうやら俺とじいじと結婚するらしいwwww早くも小悪魔wwww彩はずっと働いていた職場でバイトから正社員になれて喜んでいた。俺も単位を落とすことなく、彩の支えもあり大学生活を楽しんでいた。
ほんとに2回生、3回生とは特に大きな事もなかったから端折るね。そして俺が4回生の春、楓の小学校の入学式である。ランドセルは彩父がにやにやしながら買ってくれましたww
俺「やばいなー、緊張する」
彩父「やばいなー、緊張するww」
俺「真似しないでくださいよ」
彩父「真似しないでくださいよww」
彩「2人ともなにしてんのww」
彩父にからかわれながら、小学校の門を4人でくぐった。ふと楓を見ると初めて会った頃と比べて、ずいぶん大きくなっていてなんか色んな思い出が蘇ってきたww
彩父「お前、今楓を見てやらしいこと考えただろ」
俺「いい加減にしてくださいww」
彩父「ほんと子供が大きくなるのは早いよなー。お前も3年で大きくなったよ」
俺「え?」
ちょっと消化不良で終わった会話だった。そして体育館の中に入って式が始まるのを待った。式が始まる20分前からカメラを回し出す彩父。
俺「早くないですか?」
彩父「お、美女はっけーん!wwズームインww」
俺「なにやってんすかww」
彩父「なにやってるもなにも、どうしてお前にはもったいないくらい美人の彩が居て、このイケメンの俺に嫁どころか彼女が居ないんだ。だから目の保養も必要になるだろ?」
俺「ちょっと言ってる意味が分からないです」
彩父「いやー、最近は若妻が増えたなあww」
彩「いい加減にして!」
一気に縮まり込む彩父wwそんなこんなしているとやっと式が始まって楓の姿を目に焼き付けていた。6年生?のお姉さんに手を引かれながらも胸張って歩く姿にたくましさすらおぼえたよwwで、やっぱり隣で彩は涙ぐんでいましたww入学式も終わって、晩飯は彩父の計画で男2人で飯作るぞってことになった。湘南乃風の若旦那みたいな風貌をした彩父がキッチンに立って包丁を扱っているのは正直似合わなかったww普通に上手かったけどねww
俺「そう言えば体育館入る前のあれ、なんですか?」
彩父「なんのことだ?」
俺「大きくなったとかどうとか…」
彩父「ああ、あれか。別になんでもないよ。
ただ端から見てもお前が父親らしくなったってこと」あれ?これ俺褒められてんのか?って思うと急ににやけてきたww
彩父「気持ち悪い顔してんじゃねえよww」
俺「いや、だってお義父さんから褒められたww」
彩父「だからお前に義父さんって(ry」
俺「ちょww包丁はだめですってww」
結局どれも具がビックサイズのカレーを作った。
味はいまいちだったけど、彩も楓も美味しいって言って食べてくれた。春から夏にかけては去年からの就活の流れで結構バタバタしてたけど、秋には職場も決まって大学生活にも終わりが見えてきた。たまに大学に行く程度になったので彩と楓と過ごす時間が増えた。
もちろんその分喧嘩も増えたけど、最後は不思議と笑って追われた。ふとある時彩が呟いた。
彩「そう言えば旅行とか行ったことないよね」
俺「あー、確かに」
彩「お正月あたりに行かない?」
俺「そうだなー!どこ行きたい?」
彩「温泉とかでゆっくりしたいかも」
俺「温泉なら別府温泉行きたい」
単純に別府温泉の血の池地獄が見てみたかったんだww秋頃からじゃ厳しいかな、とも思ったけど比較的すんなり旅館の予約も出来た。結局、大晦日と元旦は彩の実家で過ごさせてもらった。朝から晩まで彩父の酒の相手でもう胃がきりきりした。100年の孤独が美味しかったですwwんで2日の深夜から大分に向けていざ出発。
夜通し走って明け方、ちょっとだけ仮眠取ってからは観光地巡りww楓が初めて匂う硫黄の匂いと血の池地獄に驚いてたwwそれと個人的に興味があった府内城に行けて良かった。旅館についてからは、ゆっくり風呂入って懐石料理食べたりし、時間がゆっくり進むっていうのはこういうことなんだと思った。楓は疲れからか風呂入って飯食ったあとにすぐに寝てしまった。
なんとなく晩酌するか、って雰囲気になって女将さんに日本酒を持ってきてもらった。2人でちびちび飲みながら今日のことを話した。
彩「ほんとに真っ赤だったねー!」
俺「ねww硫黄の匂いも半端じゃなかった」
彩「あとは府内城?は興味あったの?」
俺「いや、大友氏に興味があって…って分かんねえかww」
彩「うん、さっぱりww」
夫婦水入らずってこういう事か?wwとか思いながら、いつも以上に酒が美味しく感じた。
彩「なんかさっきからそわそわしてない?ww」
俺「そんなことないよ」
彩「子供が寝てる隣ではしないよww」
俺「ばか、そんな気分じゃねーよww」
浴衣の袖ポケットを確かめた。
彩「じゃあなによww」
俺「これ」
袖ポケットからだしたそれを彩に渡した。ここでお決まり、彩ちゃん涙目ですwwほんとに涙もろいww
彩「え?」
俺「春になったら籍入れて3人で暮らそう。俺と結婚してください」
彩の目は婚約指輪と俺の顔を行ったり来たりなんかその顔がおもしろくて思わず笑ってしまったww
俺「なんか言えよwwおいwwww」
彩「はい」
なぜ敬語wwww
彩「ふつつか者ですが、よろしくお願いします」
う言って彩は深く頭を下げた。俺もつられて土下座しちゃったよww
俺「給料3ヶ月分とかじゃないけどねww」
彩「知ってるよ、そんくらいww」
俺「夢も期待もないのかよ」
彩「旅行から帰ったらお父さんのとこ行かなきゃねーww」
そうやって楽しそうに笑う彩を見てやっと全ての緊張の糸がほぐれて、なんでか涙があふれてきた。
彩「なに泣いてんのww」
俺「彩だって泣いてんだろ」
彩「早く指輪はめてよww」
俺「忘れてたww」
指輪をはめてやったらなぜか自分の膝をポンポンしだす彩。
これは膝枕してあげるからおいで、というサインらしいww彩の膝に頭を置いてたら、彩がしきりに頭を撫でてきた。
彩「多分、今私世界で1番幸せだよ」
俺「そう?」
彩「結婚も2回くらいしてみないと分からないもんだねww」
俺「どういう意味だよww」
彩「ほんとに家族になるんだね」
俺「おう」てな感じに話してたんだけど、次第に眠くなっていて気付いたら寝てしまってた。朝起きたら、隣に彩の寝顔があって昨日のことは夢じゃないんだなって実感した。
4日の深夜に帰ってきて、5日にお父さんにアポとったら夕方以降ならいつでも来いよwwってことなんで彩の仕事が休みの日に合わせて7日に行くことになった。さすがに今回は殴られるかなー、とか考えながらも来たる7日に迎えて散髪行ったり一応気合い入れたwwついにやってきた当日。さすがに今回はスーツで行くことにした。
彩宅の家の扉を開く。確か17時くらいだったと思う。緊張のしすぎで胃が痛くなってたのはいい思い出ww家に上がると彩父がリビングのソファーに腰掛けていた。
ああ、もう分かってるんだろうなって思いながら正面に立って声をかけた。彩もいれたコーヒーを持ってきて俺の隣に立った。
俺「うっす」
彩父「おう、まぁ座れや」
俺「はい」
彩父「で、話ってなんだ?」
父親の顔ってこういう顔のことを言うんだろうなって思うくらい彩父の顔は真剣で、俺の顔を睨み付けるようにして見ていた。
俺「春になったら籍を入れて彩と楓でとで暮らそうと思います。俺を彩と楓の家族に入れさせてください」
彩父「彩はどうなんだ?」
彩「うん、シュンとやっていきたい」
彩父「楓はどう?」
楓「パパとずっと一緒にいたい!」
彩父「そうだよな。うんうん」
1人で頷いていた彩父は、ひとしきり頷いたあとすんごく優しくほほえんだ。
彩父「2人のこと、頼むよ。クソガキww」
クソガキってww俺と彩と楓とで顔を見合わせてガッツポーズしたww
俺「お義父さん、ありがとうございます!」
彩父「だからお前の(ryいや、これからはお前の義父だわなww」
ここからは普段通りの彩父ww前祝いってことで寿司の出前とってくれてパーッとやった。いつものお約束で彩父の晩酌に付き合っていると
彩父「ちょっと散歩でも行くか」
俺「ん?はい」
多分話したいことがあるんだろうなって直感的に分かったから、彩にだけ声をかけて彩父についていった。ただぶらぶら歩いていると彩父が口を開いた。
彩父「これから寂しくなるなー」
俺「はい」
彩父「俺さ、前の結婚の時大反対したんだよ」
俺「はい」
彩父「子供を産むのはいいけど、結婚だけは認めんってな」
俺「はい」
彩父「んで彩は聞き入れずに出て行って、離婚して帰ってきた。俺からしたら親不孝な娘なわけだ」
俺「はい」
彩父「で、また結婚するとか言い出す始末だろ。今回はすんなり認めれるような男連れてくるしさ」
俺「はい」
心なしか彩父の声が震えている気がした。
彩父「とことん親不孝な娘だよ」
俺「はい」
彩父「だから絶対に幸せにしてやってくれよ。じゃないと俺と楓が救われない」
俺「はい」
彩父「彩が泣いて帰ってきたら許さねえからな」
俺「はい」
彩父「結婚式はあげてやれよ」
俺「はい」
彩父「まぁ、彩はやらんけどなww」
俺「どっちなんですかww」
彩父はこの後しきりに花粉症なんだ、って弁明してたww俺も10年ちょっとすれば彩父の気持ちが分かるのかなって思うとちょっと切なくもなった。
散歩もほどほどに家に帰ってまた彩父の晩酌に付き合って、泊めてもらった。やっぱりこの日も俺の寝床はソファーでしたww彩父に結婚を認めてもらってからは2人で物件探しに明け暮れた。ああでもない、こうでもないと言いながら結局彩の職場にも近く、楓の学校にも近いところを選んだ。
ちなみに俺の勤務地行くには車で2時間wwでも後悔はしていない。広さは2LDKで、今までワンルームにしか住んだことのない俺には衝撃的な広さだったwwまぁ3人分の荷物が集まれば、すぐに狭くなったけどねwwそれから結婚は俺の仕事が落ち着いてからにしようと決め来年の5年目の記念日くらいに出来るといいねーなんて言っていた。春になって晴れて2度目の社会人になって俺ww初出勤の前の日に籍を入れに行きました。
楓が真ん中で3人で手を繋いで役所にはいるとなんか不思議な目で見られてたような気がするけど気にしないww慣れない仕事を頑張りつつ、俺なりに家族サービスも頑張ったww疲れて家に帰れば2人が出迎えてくれて狭い風呂に3人で一緒に入って幸せすぎてどうにかなりそうだったwwんで先週だよwwついに迎えました結婚式wwwwもう前日からコブクロの永遠にともにが頭の中でエンドレスリピートwwwwいっそ披露宴で弾き語りしてしまおうかとも思ったwwそして大舞台に弱い俺は、またも胃の痛みと闘っておりました。結婚式自体はこじんまりとした式場で呼んだ人も俺と彩の共通の友人と彩の家族くらい。ほんとにこじんまりとした式だったと思う。
そろそろお声がかかるかなって思ってたときに楓が俺が居た部屋にかけつけてきたww彩は別室でドレスの準備&親子水入らずでやってたと思う。楓「ママ綺麗だったよおお」俺「そうかそうかww」
楓「楓もうぇでぃんぐどれす着たい!」俺「だめ、一生着なくていい!ww」楓「なんでよ〜」
ちょっと楓の機嫌を損ねて焦る俺wwあわあわしていると式場のお姉さんからお呼びがかかってセッティング。彩と彩父を待ちかまえる準備は整った。ほんとに待ってる間心臓が口から飛び出そうな感じだった。
それでも入り口の扉が開いたらゆっくりと、でも確実に彩に彩父が付き添って歩いてきた。多分こうやって2人で今まで歩いてきたんだろうなって分かるような入場でした。俺の元に彩が来るときに、彩父が呟いた一・
俺の元に彩が来るときに、彩父が呟いた一言が今でも忘れられない。彩父「これからは頼んだぞ」確かに頷いて、彩の手を引いて神父さんの前に。
もうあとはほんとに普通通りww彩に指輪はめて、近いのキスして、式は終わり。どっちかって言うと俺の中では披露宴の方が印象深い。披露宴も段取りは普通通りだった。
入場やら挨拶やら紹介に主賓の祝辞、乾杯にケーキの入刀。事ある事に隣に居る彩と目を合わせて微笑んでた。入刀が終わったあと彩は、お色直しに席を外した。
戻ってくると艶やかなカクテルドレスに変わっていて正直見惚れたww余興では共通の友人たちがムービーを作成してくれていてもうバカらしくて笑えるくらい、地元らしいムービでホッとしたwwんでやってきましたよ、両親への花束贈呈と手紙の朗読ww俺、どうしようかって迷ってると式場の姉ちゃんが「まず新郎のお父様からお言葉をいただきます」……え?予定と違くね?とキョドっているとマイクを貰い話し出す彩父。彩父「えー、新婦の父です、どうぞww」
彩「こちら新婦です、どうぞww」どうぞじゃねーよww無線かwwここで会場が笑いに包まれるwwww彩父「まず、2人とも結婚おめでとう。新郎のクソガキはクソガキのくせして彩と楓を自分の家族として迎え入れてくれました。
世間的に以前した彩の行動は褒められるものではありません。それでも新郎のシュンさんはそれを受け入れてくれました。今日この日を彩と楓が笑顔で迎えられるのは間違いなく彼のお陰です。本当にありがとう。
そしてだんだんお姉さんに・彩父「そしてだんだんお姉さんになっていく楓と嫁として母として成長していく彩を見ているとようやく私も父としての責任を終えることができたような気がします。これからも色々あるでしょうが3人で仲むつまじくやっていってください!」
クソガキってww彩父め、人前だからっていいこと言おうとしやがってwwww目から汗がだだもれじゃないかwwどうしてくれるんだwwww彩父「これで私のスピーチは終わりにさせていただきますが2人の娘である楓がお話をしたいということでもうしばらくのほど、ご静聴よろしくお願いします」2度目の……え?俺と彩に満面の笑みを見せて彩父の元へ向かった楓。なんか急展開すぎて驚く俺を、ただ彩は微笑んで見ていた。
多分はめられたんだろうね、これwwww楓「パパとママへ。いつも仲の良いパパとママが楓は大好きです。優しいパパと、料理が上手なママ将来はパパみたいな旦那さんを見つけて、ママみたいになりたいです。
…パパ、楓のパパになってくれて本当にありがとう!これからも仲の良いパパとママでいてください!」もうね号泣だったwwww彩と出会って何度も何度も家族の大切さを感じてきたけどこの時、ある意味本当に2人を守っていくんだって心に誓った。終始泣いたまま披露宴は終わったww式が終わってからも相変わらずな日々を送っています。
家族を知らない俺と、家族作りに失敗した彩。もしかしたらなにかの縁で繋がっていたのかな、と今になって思います。春から小学3年生になる楓は、弟が欲しいとせがんできますwwそればっかりはコウノトリさんに頼むよwwwwそして今月の頭の方から、生理が来ないという彩を連れて先日産婦人科に行くと妊娠を確認することができました。
今年の秋に出産予定です。彩父が男の孫にしろよ!と言ってきますがどうにかなるものでもないだろとwwww
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