四十路オヤジさんから投稿頂いた「男にとって恋愛とは移ろいゆくものだと悟る」。
男って、若い頃は性欲が先立って女と付き合おうとするよね。
その子が好きかどうかより、やらせてくれるかどうかみたいな。
だから、相手を傷つけて別れてしまう。
でも、そういう恋愛ばかりしているわけではなくて、やがて、本当の愛を知るんだ。
それが20代の半ばに差し掛かった頃なんだと思う。
この人と人生を歩みたいって思える人、女としてだけではなく、人として尊敬できる人、そういう人と身体を交えることができたなら、心身ともに満たされる。
そんな人とめぐり逢い、成就出来たら素晴らしいし、成就できず片思いで失恋しても、やがてきれいな思い出になる。
でも、成就した後に破局すると、心にずっとその人が残り続けるよね。
俺、嫁の前に付き合ってた人が、正にそれなんだ。
大学を出たばかりのペエペエの俺、彼女は同い年で短大出だけど社会に出て3年目、心構えが違った。
それでも同い年だから、生きてきた中ではやりものとか全く同じだから、話が合った。
一緒にいると楽しくて、次第に惹かれていった。
そして、流れの中で自然にキス、そして結ばれた。
愛しいと思う女の裸は美しい。
既に誰かに使われたと分かる肉穴も愛しい。
性欲が先立ち腰を振ってた大学時代の元カノたちと違う、一つになれた歓び、身体だけじゃなく心も満たされた歓び、それを感じた。
コンドームの隔たりが悔しい、直接触れ合いたいと切に願った。
でもそれには、もっと心を通わせ、結婚の約束をしなければならないと感じた。
好きなだけでは結婚までたどり着けない、彼女との恋愛で学んだ。
結婚とは生活、家庭を運営するための覚悟が要る。
20代半ば、彼女は結婚を夢見た。
俺はまだそこまで考えが及ばなかった。
「将来の見据え方、私たち、違うみたいね。お別れしましょ。深く傷つく前に…」
俺にとっては青天の霹靂だった。
でも、今考えれば、現状に満足しすぎて、安穏とし過ぎていたんだと思う。
「さよなら。元気でね。」
そう言って去って行く彼女に、俺は「さよなら」さえ言えず、立ち尽くした。
別れを受け入れられず、チクショーっていう感情で彼女を恨んでしまった。
そんな時、職場の飲み会で、仕事でJVを組んでた現場事務所にいた相手方の事務員さんと失恋話をしてたら、別れた彼女より3歳若いその娘が、
「年齢的に、女なら結婚を意識すると思いますよ。」
と言われて、俺はバカだと落ち込んだ。
その日、その娘と二次会で話し込み、泥酔して、目覚めるとラブホだった。
記憶が全くなくて、横にはその娘がバスローブ着て寝てて、俺は下着、急いでシャワー浴びて、バスローブ着てもう一度ベッドに入った。
「目が覚めましたか?どうします?朝まで寝ます?それとも帰ります?」
と言われ、
「ごめん。俺は朝まで寝たい。頭痛いし…」
「じゃあ私も…」
その時は、眠くて性欲は目覚めていなかった。
ラブホって、外の光が入らない構造で、目覚めたときは9時だった。
あの娘はすでに起きて、洗顔して歯を磨いてた。
次第に覚醒して、事の重大性に気付いた。
若い娘と一夜を共にした…ムクッと起きて、ボーっとしてたら、
「おはようございます。」
と微笑んだスッピンのその娘、普段の事務服のときとは違って、メッチャ可愛かった。
スッピンの方が可愛いとは言わなかったけど、見惚れた。
俺も顔を洗い、歯を磨いた。
ベッドに座って、どうしたもんかと考えていると、あの娘が隣に座り、
「安心して。何もされてないから。」
「でも、男と一夜を…ごめん…」
「それって、どういうごめんですか?女の子と一夜を共にしてしまったごめん?それとも、女の子と一夜を共にしたのに何位もしなかったごめん?」
「えっ?」
「いくら泥酔した人を介抱するためでも、イヤな人とラブホには入らないでしょ…」
俺は、その娘を抱きしめた。
俺26歳、23歳のその娘をキスしながら押し倒し、既にヌルヌルの肉穴に肉棒を挿し込んだ。
その娘は生挿入を拒まなかった。
俺の腕の中で、幸せそうな顔で喘いでいるその娘を見て、愛されてるんだなあと感じた。
スッピンが可愛いその娘のお腹に射精した。
「抱いてくれてあrがとうございます。思いを遂げることができました。抱かれたからって、無理に付き合ってとか言いませんから、安心してくださいね。」
「付き合う気がなかったら、抱かないよ…」
あの娘を抱いたら、別れた彼女を恨む気持ちは失せた。
それどころか、彼女と過ごした2年が愛しく思えた。
彼女と一緒に過ごした出来事の一つひとつが、大切な思い出に感じた。
彼女との出会いから、別れまでの出来事、思い出をできるだけ詳細にワードで書き起こしてみた。
初めて性欲だけじゃない恋愛をしたときの新鮮さと、それが成就した時の嬉しさとか、2人で出かけた色んな場所、あんなこと言われたっけなとか、結構なボリュームになった。
彼女と過ごした日々の、色んなこと思い出したら、意外と思い出が多いと気づいた
これだけの思い出がありながら、一緒になることを考えなかった自分の愚かさに気付いた。
別れた彼女との思い出を掘り起こしたら、一緒に行った場所や思い出の場所に行くたび、彼女を思い出すようになった。
そして、別れた彼女の幸せを祈れるようになっていた。
いつの間にか、別れた彼女に対する愛しさが蘇り、辛い思い出も多いけど、忘れたくないと思えた。
そんな風に思うようにしてくれたあの娘と、結婚した。
今年、結婚して18年を迎え、妻が下の子の中学のPTAに行き、俺は上の子の高校のPTAに行った。
父兄の名簿が渡されたけど、生徒名と父兄の名前だけで、それ以上のk情報は無かった。
俺が高校の時は、まだ携帯電話は無くて、名簿には固定電話番号と住所まで記載されていたっけなあと、時代の流れを感じた。
PTAの会合が終わり、帰りしな、俺の名前を呼ぶ人がいて振り返った。
誰だっけ…あっ!彼女だった。
「名簿見たら、忘れられない元彼と同姓同名だったから、もしかしてと思って…」
十数分だったけど、近況を話した。
懐かしさが溢れたけど、愛しさは無くなってた。
まるで、卒業以来再会を果たした大学の友達のようだった。
帰宅して、20年前に彼女との思い出を書き起こしたワードを保存したCD-Rを持ち出し、書いてから初めて読み返してみた。
そしたら、彼女と過ごした日々の思い出は覚えてはいたけど、そこに何の感情も沸かなかった。
そう言えば、彼女との思い出の地を通っても、彼女を思い出すこともなくなってたことに気付いた。
彼女は、遠い昔の人になっていた。
俺は、CD-Rを捨てた。
そして、彼女も結婚して幸せになっているんだし、妻一筋に愛していこうと思った。
そしたら、その日から夫婦の営みが待ち遠しくなった…
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コメント一覧 (1件)
いいお話でした。