コンクールさんから投稿頂いた「やさしい歯医者さん」。
この記事は、ひょっとしたら採用されないかもしれない。
「エッチ」と感じるかどうか、人によると思うからだ。
それでも、人の感じ方は色々。そんな話をしたい。
僕は歯医者が好きではない。
痛みには強い方だ。注射とかも、わりと平気である。
じゃあ、何が好きではないかというと、
「時間と金」をジワジワと地味に減らしてくるからである。
僕は歯並びが少し歪んでいるうえ、甘いもの好きだ。
最中とか、栗饅頭とかは虫歯の温床である。
ゆえに、学生時分から歯医者通いが多かった。
今回、数か月前から続けていた歯の治療が終わり、
仕上げに歯石をキレイに除くお掃除をしてもらった。
(これでしばらくは歯医者に縛られないで済む…)
そう思った矢先、思わぬ事態が起きた。
お掃除を担当してくれたのは、歯科衛生士の女性
マスク越しなので素顔は分からないが、整った容姿が窺える。
声も穏やかで、キツイ香水の匂いもしない。正直僕好みの女性だ。
ここでは仮名をIさんとする。
歯の掃除は、超音波機器を使って行う。
苦手な人は苦手なのだそうだが、僕は平気だ。
雑な人は本当に雑だが、Iさんの手つきは柔らかい。
圧排(;あっぱい≒指を使って患者の口を拡げること)は完璧である。
Iさんのその献身的なお仕事に対し、
本当に申し訳ないのだが、僕は少し興奮してしまったのだ。
歯の掃除は細かくて地味である。
その地味な作業を一所懸命にしてくれる。僕のために。
どこか「イクまでせっせとご奉仕してくれる手コキやフェラ」…
それに通ずるものがあった。だからかもしれない。
加えて申し訳ないことに、勃起しかけた。
(これはマズい)と思った僕は、
すぐさま鮭の産卵とかおばあちゃんのラジオ体操などを妄想し、
いやらしく卑猥な雑念を打ち消した。
超音波清掃が終わった。
僕はこの次の「柑橘系のお薬がついたブラッシング」が好きだ。
Iさんは変わらずせっせとお掃除をしてくれる。
(お掃除…)
何てことのないはずの言葉に、いやらしさがちらつく。
途中で気付いたことがある。
いつもの掃除なら30分もかからない気がするが、
今日は長い。長いのだ。そして、とことん丁寧だ。
ここまで献身的に取り組んでくれると、僕は次に勘違いを起こす。
(Iさん、随分丁寧じゃね?丁寧すぎじゃね?)
(ひょっとして、僕のこと…)←バカ
ここまで脳内お花畑になると、
いよいよとなってはIさんの手つき一つひとつがエロく感じるのだ。
僕の唇を引っ張るIさんの指の動きとか、
時折聴こえるIさんの「…んっ…」とかいう咳払い。
すべてが僕のエロセンサーに反応する。
…すごく、イイ。
お掃除が終了。
Iさんが現在の僕の歯の状態を丁寧に説明してくれた。
…が、悪いけどそんなことは右から左。
僕の視線はIさんの胸やお尻に向いていた。
仕方ない。僕も男だ。心の中で謝罪した。
歯医者という「人の感情」とは程遠い場面
そして、医療という「患者-先生(衛生士)」の禁断域
ミスマッチと背徳が交錯する場面に、
いやらしさが一切顕在化しない深層エロス
Iさんはいつもどおり、お仕事を真面目にしただけ
僕は黙ってそのお仕事に身を委ねただけ
何だろう。どこにもエッチな描写ができることがない。
人は、自分次第でいつでも幸せになれるのだなって思った。
まさかとは思うが、
この記事をIさんご本人が読んでくださっているとすれば、
この場を借りてこれだけは偽りなく伝えたい。
「Iさんのお仕事は、とても丁寧でした。本当にありがとう。」
歯医者が好きじゃない僕が、
「たまには良い想い」ができた日の出来事でした。

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