おっぱい大好きおじさんさんから投稿頂いた「共同便所」。
前回、 桃色回診 を投稿した者です。
50年前に、同級生のお母さんのおっぱいに魅せられてから3度の飯よりおっぱいが好きです(笑)
これはそんな私の備忘録でもあります。
15年前です。
知る人ぞ知る
自称小説家
牛尾田好太郎氏となぜか馬(?)があって
互いの寝ぐらを行き来する仲でした。
茗荷谷の駅から10分も歩くと
抒情的な趣きの風景が現れます。
そこに
築50年
風呂無し
炊事場 トイレ共同
家賃25,000円の六畳一間で
牛尾田くんは暮らしていました。
缶ビールと乾き物を手土産に
開けっぱなしの玄関の脇の
101号室を訪ねました。
二階家の造りで
一階は玄関から真っ直ぐ廊下が伸びていて
その両側に六間が向かい合になっています。
突き当たりの右が共同トイレ
左が炊事場
瓦斯は5分で30円です。
携帯を持たないので
電話は
二階の家主宅で呼び出しでしたが
面倒がられて
なかなか取り次いでもらえません。
この日も突然訪ねましたが
板扉の隙間から灯りが漏れていたので
牛尾田くんは在宅でした。
もっとも
年がら年中素寒貧な彼は
タバコ銭にも窮するくらいですから
滅多に出かけることもありません。
「なんだ中浦か。まあ入れよ」
下足箱に靴を入れて
引戸から
万年床の六畳へ足を踏み入れ
とっ散らかった
猥褻雑誌を傍に寄せて
座るところを確保します。
彼は
『古今東西艶話』という
要は民話やお伽話を
彼なりにアレンジした
猥褻なものを書いていますが
どこの出版社からも相手にされず
時々私が覆面を依頼する
風俗記事で糊口をしのいでいました。
缶ビールを開け
私が美人大学助教授との
色っぽい
共同フィールドワークの自慢話をしていると
彼は一度席を立ちました。
すぐに戻って来て
「空きの札が掛かっていたから
ちょいと行ってくる」
そう言ってガマ口をつかむと
また出て行きました。
トイレかと思いましたが
だったらいちいち戻らず
そのまま用を足せばいいはずです。
それに
ガマ口を持っていくのも不可解でした。
私も何度かここのトイレは
使用していますが
さすがに汲み取り式ではないけれど
あんなに汚いトイレが
有料になったとも考えられません。
そして
20分も経ったころ
ようやく牛尾田くんが戻ってきました。
「なんだい?ずいぶん長いトイレだったね。
お腹でも壊したかい?」
そう尋ねると
「いやぁ…中浦の話を聞いていたら
ムラムラしてきてさ…」
彼はニヤニヤしながら言いました。
オナニーだ!
私が思ったことを見透かすように打ち消して
「違うって。実はな…」
そう言って語り始めました。
牛尾田くんの部屋を挟んで
1番奥の103号室に
2ヶ月前に
妙齢の女性が越してきました。
こんな汚いところで暮らす女性ですから
何かの事情があるに決まってます。
しかし…
彼女は
牛尾田くんを含めた
住人たちに
とてもフレンドリーに接しました。
あっという間に
掃き溜めに鶴となり
アイドル的存在になりました。
そしてなんと
一人一人と
肉体関係まで結んだのです!
そうなると
この女日照りの住人たちは
盲目です。
「彼女を巡って争いが起きてさ、
そこで協定を結ぶことになったんだ」
これも彼女の提案ですが
彼女の部屋の戸に『空き』の札が掛かっているときは尋ねて行って構わない。
ただし
順番は
じゃんけんなり、平和的に決めること。
そして代償として
幾らかの寄付をしてもらいたい。
「我々のように女性に縁がない者にとっては
まさに女神なんだよ〜」
つまり
コレは『チョンの間』です。
「中浦ッ今なら誰もいないから
お前もどうだ?」
牛尾田くんは親切に勧めてくれましたが
彼と穴兄弟になるのは抵抗があるので
丁重にお断りしました。
後日談
ある日
牛尾田くんが血相を変え
私にお金を貸してくれと
泣きついてきました。
なんでも
彼女は
住人たち個別に
結婚を匂わせ
金融会社から
限度額いっぱいまで借りさせました。
しかし
筋書き通りドロンします。
残された穴兄弟たちは
共同便所のアパートに
回収業者さんがきて
初めて
自分だけが
特別な男ではなかったことを知りました。
しゃくりあげている
牛尾田くんには悪いですが
こんな
お金のない男を騙すひともいるんだなぁ
と感心してしまいました。
薄利多売の結婚詐欺もあるので
私も
自戒の念を改めました。
お読みいただきありがとうございました。
また投稿させていただきます。
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