アラ還オヤジさんから投稿頂いた「失った彼女を思って独り生きる俺の哀惜」。
元カノと呼べる人は何人かいるけど、永遠の元カノって、やっぱり忘れることができないね。
元がつく以上、みんな別れてるんだけど、別れ方って色々あって、やっぱり、死別は堪える。
結婚するはずだった。
プロポーズもして、受けてもらえて、ご両親にも挨拶して、一緒に帰省して俺の両親に紹介するための待ち合わせ場所に彼女は現れなかった。
まだ、携帯電話は一般人に汎用する少し前の時代、ウィンドウズ95が新しいOSの扉を開いてたあの頃、彼女は、その後多発するAT車のアクセルとブレーキの踏み間違え事故でこの世を去ってた。
「娘のことを忘れろとは言わない。でも、いつまでも執着しないで、新しい人生を歩んで欲しい。だから、この先の法要への参列は、しないで欲しい。娘も、君が着ては成仏できないから・・・」
彼女の告別式で、彼女の父親から言われた。
約束は守った。
彼女の墓参りには行ったことがない。
でも、彼女が俺の心から消えることもなかった。
心と身体を通わせた女、彼女以上の女はこの世にいなかった。
透き通る白い肌、まろやかな曲線美の腰回り、美しい娘だった。
白い肌に鮮やかな桜色の裂け目、潤いを絶やさず雄蕊を待つ雌蕊が愛しい。
花弁を拓けば震える敏感な花芯、優しく撫でれば漏れ出す吐息、愉悦のひととき。
雄蕊と雌蕊が一つになれば、そこには麗しき彼女の淫らな姿が蘇った。
愛の名の元に繰り広げられる破廉恥に没頭し、夢中でまぐわう淫奔に耽溺。
男と女の愛の交合・・・
もう、ずいぶん昔のことだ。
今思うに、彼女が忘れらないんじゃないのかもしれない。
彼女と過ごした幸せな快楽のひとときが恋しいだけなのだろう。
彼女と過ごしたほんのわずかな人生のひとときを手放せないだけ・・・
なぜなら、あの幸せなひとときは、唯一彼女とじゃないと過ごせなかった時間。
とはいえ、彼女も、彼女と過ごしたひとときも、どっちも大切な思い出。
最高だったから、あれ以上の相手が見つからずずっと独り。
彼女と結婚したかったけど、その思いを抱えて、彼女の幸せを祈ることもできない。
だって、彼女はもうこの世にいないから。
だから、彼女を思いながら、独りでのんびり暮らしてる。
山間の一軒家、中学まで住んでた家。
街に出ないと高校に通えず、中学を出たらこの家を離れた。
彼女を失い、俺は、仕事を辞めて帰ってきた。
両親も見捨てたこの家で、細々と畑を耕して暮らすのも、まんざら悪くもない。
彼女を失って間もなく30年を迎えようとする今、時間が経つほどそう思う。
いつまでここにいようか・・・
そう考えながら、還暦も見えてきた俺は、今日も軽トラのハンドルを握る。
いつまでここにいようか、が、いつまでここにいられるのだろうに変化してる。
彼女を思いながら何十年も独りで生きてるって、彼女って、すごい人だったんだなあと、しみじみ思う。
色褪せた彼女の写真・・・
彼女だけ、25歳のまま年を取らず、俺だけが朽ちていく。
いずれ、あの世で彼女と再会するときが来るだろう。
せめて、あの世で彼女と添おうじゃないか・・・
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コメント一覧 (2件)
いやあ、一途な愛、素敵なお話はありませんか。
これは秀逸!