元カノさんから投稿頂いた「お別れ旅行が終わって彼が元彼になった日」。
結婚するはずだったけど、彼と別れることになった。
この頃なぜだか、セックスの後、シラケるようになった。
原因は分からないんだけど、彼が射精した後、精液を拭いてくれるとき、面倒そうな素振りになってることに気付いた。
セックスは気持ちいいんだけど、心まで抱かれてないような気がしてきた。
それは、私の心も彼から離れているのかもしれなかった。
結婚したらどこに住もうねとかいう話題もなくなったし、部屋の内見にも行かなくなった。
彼のクンニがおさなりだなと感じたのが、数か月前。
気付いたら、私のクンニも、愛しい愛しいと思いながらのフェラじゃなく、勃起冴えるための手段になってた。
そして、セックスの最中、気持ちはいいけれど何かが違うと感じた。
それは、気持ちいいだけのセックス、快楽だけが目的になってて、前みたいに、舌を絡めたキスをしながら濃厚に交わるというよりは、彼は、射精をしたいがために腰を振ってるような気がした。
私も、気持ちいいことだけを求めて、腰を動かしていた。
真剣に、腹を割て話し合うために、私、一人で海辺の街に行ってきた。
漁船がたくさん停泊してる街で、ボーっと彼のことを考えてた。
彼と、家庭を築いてるイメージが、消えてく…
そしてその後、彼と話し合って、私たちは一度別れて、距離を置くことにした。
二人の熱は去り、このまま冷めてお互いを嫌いになって喧嘩別れするより、愛の残り火を燃やすための旅に出た。
この旅が終われば、二人は離れ離れ、そんな旅だった。
私は、旅立つ前にアパートを引き払い、会社を辞め、帰郷する準備をして旅に出た。
初めて二人がお泊り旅行した思い出の温泉街を、並んで歩いた。
指が触れ合い、絡まり、そして握った。
まだ、愛してる。
でも、心は離れかけていた。
すぐそこに、愛の終わりが見えていた。
描いてた二人の将来が、滲んでた。
夜、差しつ差されつ熱燗を呑んだ。
あの日も、同じように熱燗を呑んで、いつか、年とっても二人でこうして?もうねなんて言ってたのを思い出した。
あんな穂はもう帰らないと思うと、哀しかった。
最後のセックス、温もりが感じられず、肌が冷たく感じた。
最後の精液を浴びるとき、彼の射精をぼんやり見てた。
彼、最後の精液だから、優しく噴いてくれた。
朝、まだ寝息を立てている彼を布団に残し、私は洗顔してお化粧を始めた。
鏡に映る彼が、寝返りを打った。
今日でお別れ、精いっぱいおめかしして、泣かないで、笑顔でさよならするつもりだった。
彼が起きてきて、身支度を始めた。
朝食バイキングに行って、部屋を出る前に、最後のキスをした。
忘れられないキス、このキスを忘れられた時、新しい恋ができるのかな、って思った。
チェックアウトして、最寄駅から東京に向かった。
東京駅、改札御出る前に、お別れした。
「今までありがとう。元気でね。さよなら…」
「お前も元気でな。さよなら…」
目にいっぱい涙をためてたけど、こぼさないでさよならが言えた。
彼が元彼になったから、背を向けたら、二度と振り返らずに東北新幹線に乗った。
さよなら、元彼、さよなら、東京…
夕暮れの中、元彼と二人で生きてきた街の灯りが、遠ざかっていった。
身体に、元彼に抱かれた温もりの名残を感じなかった。
愛のないセックス、でも、恋人としてのお別れは、セックスなしには成立しなかった。
自分たちの愛の終わりを確かめるため、最後、愛のないセックスをして別れた。
実家に戻り、数日間引き籠っていたけど、両親は察して何も言わなかった。
このままじゃダメだと、仕事を探しに街に出た。
故郷は、私を優しく迎えてくれた。
仕事も決まり、少しずつ新しい生活を受け入れていった。
そんなある日、元彼からラインが来た。
「アパート、引き払ったんだね。心配になって、尋ねてみたら居なくなっててビックリしたよ。実家に帰ったのかな。それならそれで安心だよ。」
「うん。実家に帰って、今は新しい仕事に就いてる。心配しないで。私、元気だから。」
これが、元彼との最後のラインになった…
さよなら、元彼…
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コメント一覧 (2件)
なんか切ないですね
でも素敵なリズムを感じる文章でした
>心配しないで。私、元気だから。
これ、別れた元妻との最後のメールだった。
この数日後、元妻は自ら人生の終止符を打ったんだ。
もう、19年前の話さ。
元妻が残して行った娘、一昨年嫁いで、今年、俺はお爺ちゃんになった。
元妻にも見せてやりたかったな。