陸奥さんから投稿頂いた「捨てた故郷に帰郷して知る妻の存在」。
故郷を捨てて20年、数年ぶりに来た兄貴からのメールで親父が亡くなったことを知った。
20年ぶりの帰郷、先の震災時も帰らなかった東北の内陸部にある故郷へ帰った。
新幹線を降りて在来線に乗り換え、故郷の最寄り駅へ降り立った。
20年前とあまり変わっていない風景が懐かしかった。
駅から歩いて15分、懐かしいまちなみを抜け、実家へ着いた。
兄貴が出迎えてくれた。
「まあ上がれや。今日で初七日だ…」
奥から年老いた母がヨロヨロとやってきて、俺の手を握った。
大学を出て、地元に就職し、就職先で2歳年下の幼馴染と再会、奇麗なお嬢さんになってて驚き、恋に落ち、そして結ばれた。
幼馴染は短大時代に彼氏がいたようで、処女ではなかったし、開発済みだった。
俺たちは激しく愛し合った。
69で舐め合い、体液まみれになってお互いの肉体を貪った。
お互い、愛し合っていることを体現するような、激しいセックスだった。
最高に気持ちよくて、会えばしたくなる一方だった。
身体の相性も最高だった。
交際して1年半のころ、結婚を意識し始めた。
しかしその頃、幼馴染の実家の商売が立ち行かなくなっていた。
日経平均がバブル崩壊後最安値を示し、りそな銀行への公的資金注入など、幼馴染の実家はそれらの影響をモロニ受けていた。
幼馴染は、町の名士の次男坊に見染められてて、実家の救済を条件に嫁入りすることになってしまった。
俺たちは、2年間の交際に幕を引いた。
お別れのセックスはしなかった。
すれば、別れ難さがが増すし、未練が募る。
「ごめん…」
「仕方ないさ…」
これが俺たちの最後の会話だった。
俺は仕事を辞め、故郷を捨てて、大学時代を過ごした東京へ出た。
父は黙って見送ってたが、母は追い縋ってきた。
兄貴に支えられ、兄貴に、目で「元気でな」と言われてっ実家を後にした。
幼馴染に見送られることもなく、駅から旅立ったのが20年前だった。
東京で再就職して結婚し、そこそこ幸せに暮らしているが、今も幼馴染のことは大切な存在だ。
恋愛に勝ち負けなんてない、俺は、負けたわけじゃなくて、どうにもならなかったんだと幼馴染を諦めた。
最期まで二人で一緒にいられなかっただけだと諦めた。
実家に一泊して、翌日は東京に戻った。
その時も母に追い縋られた。
おそらく、今度帰郷するときは、生きた母の姿を見ることはないから、母にとって俺の姿は見納めなのだ…
帰りしな、幼馴染の実家の前を通った。
懐かしさと、切なさが交錯した。
家に帰ると、結婚して15年の妻が迎えてくれた。
妻のそばに帰ってきて、ホッと落ち着ける空間だと気づいた。
故郷があんなにも落ち着かない空間だったことが、妻の大切さを確認させられた。
その夜、妻を抱いた。
幼馴染とは違う抱き心地に、安らぎを感じた。
もう、四十路夫婦だが、妻の女体のすばらしさを感じた。
「ああ…あなた…」
俺にしがみつき、密着してチンポを締め付ける妻が愛しかった。
「今日は大丈夫な日よ…中に寵愛…」
ほとばしる精液を妻の子宮へ届けた。
そして、俺の精液を注がれて喜んでくれるのは、妻だけだと悟った。
そしたら、幼馴染からはもう卒業しようという気持ちになったから、幼馴染にさよならを言おうとしたが、幼馴染の顔を思い出せなくなっていた。
もう、とっくに幼馴染は俺の心に棲んでいなかったことを知った。
兄貴から、父が俺のことを心配しながら亡くなったことを聞いていた。
追い縋る母の姿を思い出し、両親に懺悔した。
懺悔しながらも、俺は、故郷では生きられないんだ、分かって欲しいと両親に告げた。
俺は、妻と生きていく…

感想などコメントをどうぞ!投稿していただいた方の励みになります!
コメント一覧 (3件)
哀しいお話でした
そいつは辛いですね。
故郷にはいたくないですよね。
私もある出来事があって、生まれ育ったところを遠く離れています。
携帯も解約して、故郷を去ったから、実家の動向さえわかりません。
今の場所に根を下ろし、四半世紀が過ぎようとしてます。
私にも家族ができていますが、親兄弟のことは何も知りません。
両親は、年齢的に存命じゃないとは思います。
凄く共感させられるエピソードでした。
切ないね