あの人を好きだった気持ちだけが残る街並み

元カノさんから投稿頂いた「あの人を好きだった気持ちだけが残る街並み」。

あの人とお別れして18年、私も40歳、年を取りました。
忘れられない人だけど、その後、穏やかな恋愛を経て、私も14年前に結婚しました。
あの人への思いは年々薄れてきたけど、何というか、後遺症のような感覚があります。

あれから18年も経つのに、結婚して子供もいるのに、あの人を忘れた事なんてありませんでした。
夫との恋愛は、あの人を夢中で追いかけたような恋ではませんでした。
でも、夫はとてもいい人です。

人生で二人目の男性だったあの人とは、身体の相性も良かったんです。
あの人が入ってくると、それだけで溶けちゃうくらい感じました。
心だけでなく、身体が離れられない人でした。
初めて逝く事が出来たのが、あの人でした。

オチンチンの形が私のアソコと会ってたのか、当たり所が良かったのか、とにかく気持ちいいセックスでした。
ザラつく辺りに段差が引っかかる感じで、何もかも気持ち良くて喘がされました。
私の身体をオンナにしてくれたのは、あの人だと思います。

あの人、大学時代の友人に頼まれて、ヘッドハンティングされて、あの人の母校の大学がある街に行ってしまいました。
私は、一人娘だから、突いて行くことはできませんでしたし、あの人も、
「仕事が変わってどうなるか分からないから、君を連れていくことはできない。ごめん・・・」
と言いました。
身を引き裂かれるような別れでした。
あの人がこの街を出ていく日、街中のラブホで最後のセックスして、駅であの人を見送りました。

「さよなら。元気でね。」
「俺のことは忘れていいから、俺よりイイ男探せよ。じゃあな。元気でな。さよなら・・・」
新幹線の改札を抜けると、あの人はエレベーターの前で手を振り、見えなくなっていきました。
トボトボ帰る私の目から、涙が溢れていました。

あの後、メールが来たのは２回です。
あの人が去って１年後、仕事が順調に軌道に乗ったから、心配しないでほしいという内容でした。
良かった、安心したと返しました。

その１年後、夫に出会い、穏やかなお付き合いが始まりました。
ただ・・・あの人の時のように、イマイチ気持ちが盛り上がれませんでした。
夫を愛せないわけじゃなく、他の誰でも、あの人の時みたいな感情は沸かないと思いました。
なんていうか、枯れちゃった感じでした。

でも悶々としながら、あの人と別れて３年の頃、２回目のメールが来ました。
それは、あの人が結婚するということ、そして、早く嫁に行けということが書いてありました。
新しい彼氏がいることを返信したら、よかったな、よかったなって返ってきました。
それが、最後のメールになりました。

その後、ラインが主流になって、もう、メールはほとんどしなくなりました。
でも、こうしてスマホのアドレスを開くと、あの人の連絡先が残っています。
届くかどうかはわかりませんけど・・・

この街には、あの人と歩いた小径、良く行った店、そこを歩くたび、行くたび、胸がチクッとしていました。
あの人の最後のメールから１年後、結婚しましたが、そのことはメールしませんでした。
先に結婚したあの人だから、私はもう思い出す必要のない存在だろうし、昔の彼女からの結婚報告メールは迷惑だろうと思いました。

あの後、結婚してこの街を離れ、あの人の思い出のある場所には行かなくなりました。
先日、実家に用事があって、あの人の歩いた小径を通りましたが、チクッとはしませんでした。
懐かしい気持ちで通り過ぎました。

夫と一緒に歩いて、思い出が上書きされたのかもしれません。
もう、遠い昔にあの恋は終わったのだとわかっていますし、再会さえ叶わなかったけど、思い出は薄れて、ただ、あの人を凄く好きだった気持ちだけがいつまでもこの街並みには残り続けているのです。