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パッションのあるセックスだった彼女の思い出

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屋良さんから投稿頂いた「パッションのあるセックスだった彼女の思い出」。

「私たち、少し距離を置かない?」
と彼女に言われた時、ついにこの時が来たかと思いました。
彼女と付き合って2年、一番盛り上がってたピークが過ぎたなと感じていました。
付き合って1年の頃が、一番楽しかったと思います。

初めは恥じらい混じりだったセックスも、69になってお互いの性器を弄り合い、舐め合い、繋がることだけがセックスじゃないみたいに淫らな行為に耽っていました。

彼女とは、あるキャンペーンで一緒になった多企業の社員での合コンみたいな飲み会で知り合いました。
初めは気の置けない仲間のような感じでしたが、一緒に居たい気持ちが次第に募り、やがて二人で会うようになると、求めあい、結ばれました。
彼女とは、それまでの惚れた腫れたの恋愛とはちょっと違って、本能で愛し合うような、セックスにパッションがありました。
とにかく絡みついて、お互いの接触面積を少しでも多くしたい一心だったような気がします。

最高に盛り上がったピークは半年くらい、そこから少しずつセックスからパッションが失われていった、そんな気がします。
あの日、彼女を後ろから抱きしめ、寝バックで繋がり、彼女は身を捩って私との横行なキスをしながら密着セックスしていました。
その時、何でこんな無理な体位でしているんだろう、正常位で密着した方がいいんじゃないだろうかと、冷静に考えている自分がいました。
ただ只管セックスに没頭するパッションを失っているなと自分でも感じて、彼女とのセックスは、もう最後になるのかな?なんて思った後、ラブホを出た時、二人ともシラケてました。
その時、彼女から距離を置きたいと言われたのです。

距離を置くというのが、どういう意味なのか、友達に戻るのか、お別れなのか、ただ、もうセックスする仲ではなくなるということだけはわかりました。
当時、私26歳、彼女23歳、交際して2年ですから、結婚の二文字も頭に浮かんでいました。
距離を置くだけだから、「さよなら」とは言わず、「いつかまた」みたいな「じゃあね」のような別れをしたと記憶しています。
そうなんです、あれが、彼女と会った最後で、結局あれが別れだったんです。
彼女とは、「さよなら」をせずに別れてしまいました。

あのあと、なんとなく寂しくて、携帯電話の彼女の連絡先を見つめることがありました。
彼女にメールを送れば、友達として返信が来たと思います。
会いたいと言えば、友達として会って、食事するくらいはできたでしょうが、セックスは出来なかったでしょう。
私にとって、彼女は友達ではないし、友達としての彼女なら会いたくないし、友達からまた恋人に戻せる恋愛テクもありませんでした。
それで結局、彼女に連絡することも無く、さりとて彼女から連絡が来ることも無く、あの日を迎えました。
東日本大震災・・・

東京もかなり揺れましたが、私の故郷は南東北の内陸部、とても心配でしたが電話もメールも届きませんでした。
翌日、無事を知らせるメールがいっぱい来ました。
実家は無事でしたが、故郷はかなり被害を受けていて、マンホールは浮き上がり、橋梁はズレて、道路や法面が崩壊したり、甚大な被害でした。
私は、震災から1年後、東京のゼネコンを退社し、故郷の建設会社へ転職しました。
復興に向けてマンパワーが足らず、退社したゼネコンに応援を依頼したこともありました。
そうやって、故郷の復興に関わってきました。

そんな私も今年は四十路、妻子あるおっさんになりました。
先日、実家の物置を整理してたら、ゼネコン時代の物をしまい込んだ通関箱を見つけ、その中に、彼女とツーショットのプリクラを見つけました。
一気に記憶が蘇り、あの頃のことが、頭を駆け巡りました。
仕事を辞めて、帰郷する前日の夜、「さよなら」を言わず別れた彼女のアパートの前に佇んで、彼女の部屋の窓の明かりを眺めたのを思い出します。
そして、彼女の部屋に向かって「さよなら」と呟いたら、涙が頬を伝ったのです。

暫くの間、彼女の事を思い出していました。
若かったあの頃、パッションのあるセックスに身を委ねて、貪り合うような恋をしたあの頃の彼女との思い出を、文章に残してみました。
忘れていることもあるだろうけれど、今後、彼女の事を忘れないために、思い出を書き綴りました。
そして、今、どこでどんな暮らしをしているかもわからない彼女の幸せを祈り、彼女が呼んでくれるとは思えませんが、「さよなら」の代わりに、この場に公開しました。

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