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笑う目〈2.今後の展開への段落となる部分の物語〉

ko-さんから投稿頂いた「笑う目〈2.今後の展開への段落となる部分の物語〉」。

ネットカフェで遅番として深夜バイトをしていた僕には、その本部の会社にOさんという気になる女性社員がいた。あまりの厳しさに誰もから恐れられている存在だ。
そんなOさんと2、3回一緒にランチをしたが、数ヶ月という長い期間の中でもそれ以上の発展が見られないままだった。

年末になって、バイト仲間同士で忘年会があった。
幹事は昼間のバイトの一番上の女性で、当日まで特にメンバーは知らされていなかったし、みんなそこまで気にしていなかった。
待ち合わせ場所に着いてしばらく。何となくその女性の先輩に今日のメンバーを聞いてみた。
「今日は××君と~、××ちゃんと~……あ~、あとOさんも来る!」
へ?
みんな固まった。
Oさん? あのOさん? 来るの?
「えー!」という遅番メンバーの声も上がる。
「別に大丈夫だって~。だってあたしOさんと普段も仲良いも~ん」
その女性の先輩はそう言いながら、この前一緒にフローズンヨーグルトのお店に行った話なんかをし始めた。
そこからしばらくOさんの話題になったので、その先輩から色々と彼女の情報も聞けた。年齢とか。
どうやらその先輩自身と同い年らしい。
……5つ上か。
……有りだな。
と、そこでその先輩に丁度Oさんから電話が入った。
「え~? わかんない~? 今どこ? ……近くじゃん! ちょっと待ってね~……。あ、いたいた! おーい、こっちこっち~!」
先輩が手を振る先を見たが、わからなかった。
しかし人混みの中から近づいて来る女性を見て、それがOさんだとわかった瞬間、僕はひっくり返りそうになった。
ヨレヨレの白Tシャツに黒いパーカー。まったくまとめていない放りっぱなしの髪。下なんか灰色のジャージで、裸足にスニーカーだった。
そんなOさんが、パーカーの両ポケットに手を突っ込んだまま駆け寄ってくる。
「お待たせしましたー!」
唖然としていなかったのは、その先輩だけだった。

しかし困ったことに、飲み会の席では男性陣が手のひらを返したようにOさんに言い寄っていた。
「Oさんてカレシいるんすか?」
「俺美人だなぁって思ってたんすよ」
いや、ダサイじゃん。
寒そうだし、この季節に……。
それとも普段とのギャップが彼らを変な感情へと導いたのか。
しかしかく言う僕自身も、遠目にその姿を見て、これはこれで何故か惹かれるものを感じていたのも事実だった。
確かに、不思議と似合ってはいるのだ。それに、Tシャツ越しに膨らむ胸元にどうしても目が行ってしまう。普段スーツで見えにくいからか……。いかんいかん。

数時間後。
飲み会が終わって解散した後で、僕は一人ヤキモキしていた。
Oさんとは話せなかった。それどころか、他の男性陣数名が彼女を口説いたり、連絡先を貰ったりしていたのだ。
駅のホームのベンチに座っていると、横から声がした。
「隣座りますよー」
目を向けてはっとした。Oさんだ。
またポケットに両手を突っ込んだまま立っている。
お酒は飲んでいなかったので、顔色は普通だ。ちなみに僕も飲まなかった。
「今日、話せませんでしたねー」
隣に腰を下ろしながら、Oさんが呟いた。
「そうですね……。あの、××さんとか××君とは結構話してましたね」
「ええ。バカみたーいって思いながら話してましたよ」
「そ、そうっスか……」
Oさんは頬杖をつきながら、正面をぼ~と眺めて独り言のように呟いた。
「やっぱ来ない方が良かったかなぁ。仕事の時にも軽く見られるようになったら嫌ですし」
僕は少しどう言おうか迷ってから、返した。
「……そんなことはないんじゃ」
Oさんは黙っている。僕は続けた。
「……でも確かに、普段と違う面を見た瞬間あんなに態度変えるのもなぁ」
そこでOさんは溜め息をついて言った。
「K君もバカみたーい」
「え?」
Oさんはこちらに顔を向けた。
「胸見てましたよね、ずっと」
図星をつかれて、僕はドギマギしながら反論した。
「いや、それは……。それに、Oさんだって見たじゃないですか!」
「何を?」
あ、あの笑顔だ。
「何って、その……」
そこでOさんは立ち上がって、歩き始めた。改札へと続く階段に向かって戻ろうとしている。
「あれ? 電車こっちじゃないんですか?」
思わずそう声をかけると、彼女は体ごと振り返って言い放った。
「話しに来ただけです」
その表情は、柔らかい笑顔だった。だが、どことなく作り物のように思えた。
僕が何も言えないでいると、彼女は一言「……バカとか言ってすみません」と呟いて、軽く頭を下げた後また振り向いて行ってしまった。
僕は立ち上がって追うことはせず、そのままホームに入って来た電車に乗り込んだ。

次の日からまた仕事だったが、電話に出るOさんや店舗に顔を出す彼女の、あのいつも通りな冷徹な雰囲気を見ては、この前と飲み会の時と本当に同じ人なのかと考えていた。
「~の報告がまだです」「~するように」……
彼女に言い寄ってたうちの一人だった先輩なんて、つい出来心で漫画を読んでいるところを見つかり、「いけませんよ」と注意され「気をつけます」と言うも、「いえ、もう遅いです、処分です」と減給の鉄槌を下され真っ白になっていた。
それから数ヵ月は、僕は交換してもらった連絡先に一度も連絡できなかった。

季節は巡り、別れの時が訪れた。
僕の父親が病気になり、兄弟で一番身軽な立場の僕が地元に戻ることになってしまったのだ。つまり、そっちで別の職を探すことになったということだ。
別に同じ県内なので、それほど離れているわけではないが、なんとなく良い機会には感じた。あの日以来、Oさんにそこまで気が残っていない自分にも気づいていたし。
結果的に僕はあっさり退職届けを書いてしまった。
バイトなので、本部社員の誰かにひとこと言ってから退職届けを本部にファックスするだけで良かった。
僕はたまたま店舗に来ていた男性の社員に辞める旨を告げ、店舗に常備してある書類から退職届けを取り出し、すぐに書いて迷わず本部にファックスした。
30分ほど経ったと思う。
電話が鳴ったのでいつものように出た。本部の電話番号が表示されていたので、本部向けの応答をした。
「お疲れ様です。△△店のKです」
「もしもしK君!?」
電話の向こうはOさんだった。そんな予感はしていた。
「はい」
「ねぇ、辞めちゃうの……?」
さっきの社員はまだ本部に戻っていないのだろう。話は伝わっておらず、ファックスを見て知ったのだとすぐわかった。
「はい、お世話になりました」
僕がそう言うと、Oさんは少し間を置いてから、「……わかりました」と言った。
少しだけ心残りを感じながら、ピッと通話終了ボタンを押し、受話器を置く。
まだ今月末まではある。気まずいなぁ。
そう思っていたのだが、実際に辞める最終日までの半月ちょっとの間、たまたま一度もOさんと関わることはなかった。

やがて僕は地元に戻り、そこで2ヶ月ほどの就活の末、製造系の小さな会社の正社員としての職についた。
そしてそこでの慣れない仕事に追われる毎日に、やがて僕の心からはOさんやバイト時代の記憶が次第に薄れていった……。

その後。
既にOさんへの恋心を忘れていた僕は、地元で新しく知り合った男友達からの紹介で一人の女性と出会い、やがては付き合い始めていた。
その人とそれなりの経験もして、そのうち本気で結婚を考えるようになるが、その人の両親の強い反対に押し切られた末に彼女が根負けして別れてしまった。
後にその人から、新しい恋人とのハメ撮り動画を送りつけられ、それを『最低で最悪の宝物』だと思いながらわざわざ大切にとっておくまで未練に浸っていた僕が、さらに転職を考え始めたのは、その人との別れからさらに2年後だった。
製造系の会社で6年近く経ち、そろそろ慣れてきた矢先、社長がおかしくなってしまって、小さな会社だったのでやっていけなくなってしまったのだ。
廃業間際までいると大変なので早々に撤退し、同業の他の会社で良い場所~良い条件~と思って探し当てたのは、数年前に一度一人暮らしをしたあの市街にある、比較的大きな会社だった。
「昔あの街でバイトしたっけ」
そう思いながら再び引っ越しの準備を始める。
父親の調子は結構前にとっくに良くなっており、何より結婚していた兄が子供が出来て戻ってきたばかりだった。姉もいたが日本在住のフランス人と結婚して出て行ってるし。
もともとは看病が必要~身軽な人~とかで僕が引き戻されたというのに……。
実際は父は入院していて僕は家でポチ(仮名)と二人きりだったのが、今になって今度は逆に僕だけが一家団欒の邪魔者のように追い出される形になってしまったのだった。

しかし引っ越して気分は一転。
新しい職場にも馴れ、前職の技術を買われて入社直後にスピード昇格し、前よりも貰えるようになってウハウハになった頃。
会社の一斉有休の日で、新入社員ながらも会社都合ということで前借りの有休を手にした僕は、平日の朝っぱらから、久しぶりに繁華街の方へと赴いた。
僕の昔のバイト先がある街だ。
昇給をきっかけに結婚願望がさらに強くなり、6年ぶりに思い出していたのだ。あの人のことを。
「もしもう一度会えるなら、チャンスは無いだろうか……」
そんな都合の良い願いを同時に浮かべながら……。

午前10時を回ったぐらいだった。
その店構えは大した変化は無かったものの、一度改装してあるように見えた。
入店しようと思って中に入ると、当然のことながら、知っている人は一人もいなかった。
それは予想どおりだった。
そして本気で期待なんてものもしていなかった。
すなわちOさんのことだ。
……まぁ、辞めているんじゃないかな。と、僕は既に最初から諦めていた。
入店し、一階フロアの割と入り口に近いブースに入る。適当に持ってきた漫画を読んでいると、しばらくして知っているような声が聞こえてきた。
まさかね、と思いながらも一応耳を済ます。
良く聞こえないが、なんとなくキビキビとバイトの子たちを注意しているように感じて、僕はブースから出た。
やましいことでもあるかのように本棚に隠れてフロントを伺う。
見たことがある人が、そこにいた。
スカートタイプの黒いスーツの女性。ひとつに束ねた、乱れのない黒い髪。……いや、違う人かな?
そう思った時、丁度こちらに少しだけ顔が向けられた。
Oさんだ。
本当にいた!
まさか、本当にまた会えるとは思ってもみなかった……。
連絡先は知っていた。それが今変わっているかは知らない。ただ、そういうものじゃない原因によってもう会えないと思っていたのだ。
僕は、彼女がまだ働いているということに鼓動が高鳴るのを感じた。
きっとこれは、好きな気持ちが以前よりも強い姿で甦ってきたことに他ならない。
そして……

“まさか今日、こんなことになるなんて”

それは、この後に待っている出来事の際、僕と彼女が同時に感じることになる心情であった。

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