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僕は女の子じゃない 2…女の子になっていいの? 男の子のままでいたいの?

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makoさんから投稿頂いた「僕は女の子じゃない 2」。

僕は女の子じゃないの続き

時計の針を8月から少し戻して5月。
2016年5月は僕の19年間の人生のなかでもっとも長い1ヶ月間だったかもしれない。

僕は中学生のときからずっと女の子って見られることを嫌ってた。大学生になり女の子に見えるのならそれでもいいって思うようになった。でもそれって僕が男だっていう前提でのはなし。
突然あなたは女の子でした。だからその前提で考えてくださいと言われると簡単には割り切れない。

何回も何周も考えた。
女の子に見えるし、身体も女の子だったのなら、女の子になったほうがいい。だってそれが現実的って僕のなかで決めかけるんだけど決めきれない・・・・・。 見た目は女の子だったとはいえいままで男の子だったわけだし、、、、女の子になっていいの? 男の子のままでいたいの? 女の子になりたいの?
このループが毎日続いた。

家族に僕の選択を伝えたのは5月下旬。みんな理由は聞かなかった。そして反対しなかった。
治療を開始するときは家族も同席してほしいと言われていた。母親が行くと言ってくれたが僕はあまり気がすすまない。それが父親であってもおなじこと。。。。。 明確な理由はない。なんとなく気がすすまない。おそらくそれを察してくれた姉が「あたしが行く。そのほうが真実も気が楽だと思う」

治療開始の日、姉が上京してくれた。
診察室に入り治療の方針を姉と聞く。話しやすい先生だったので僕は安心していままで話してきた。
同席してくれた姉を先生に紹介したところ、「うん。わかるよ。さすが姉妹よく似てる。敢えてもう姉妹って言うね。いまでもそっくり。もっと似てきちゃうよこれから」
姉と僕は3歳違い、身長、体重はおそらくほぼ同じ。小さいころからよく似ていると言われてきたのは事実。お互いにそれをなんとなく嫌がっていたのも事実。

「似てるって言われるの嫌なんだけど・・・・」
「不満? ばか」
「ばかとか言うな」
「はいはい、姉妹喧嘩はよそでしてちょうだい。いまから大切なことを説明するから。真実さんには十分話してきたつもりだからお今日はお姉さんに言うね」

これはそもそも性転換ではないこと。女性の身体に出現している一部エラーを修正するための治療であること。具体的にはホルモンの投与により本来の内性器、性腺の活性を促すことと外科的に外性器の形状を整えること。幸いにも僕には遅い第二次性徴が出現しているのでホルモン投与は短期間ですむかもしれないとのこと。

GIDの治療は本人の性自認と身体の不一致の是正だけど、性分化疾患の治療は外見や生殖能力などから本人が総合的に選択した性にするための治療。ケースによっては本人のいままでの性自認とは逆の性になるため家族や周囲のサポートが必要になること。身体的な治療よりもこちらが大切。このことをお話ししたかったためにご家族の同席をお願いした。

説明を聞いた姉は、「真実が、弟でも、妹でも、あたしは姉です。。。。 両親もおなじ考えです 」
「わかりました。治療を開始しましょう」

病院を出て、僕の部屋に帰る。僕の部屋はワンルーム、ユニットバスに小さなキッチン。つまり広くない。
「ホルモン治療ってどんなことするのかしらと思ってたら、お尻に注射2本するだけなんだね。お尻に注射って小学生みたいw 」
「どうして見てたんだよ。話が終わったらふつう部屋を出るとか、見ないようにするとかするだろ」
「あんたさ、女の子なんだからそういう言い方そろそろやめよう」
「・・・・・・・」

姉や両親の前では「あたし」にはなれない。。。。。。。 この期におよんでも家族の前ではわざとらしく男っぽい言い方になっちゃうのは自分でもわかってるけど・・・ いまはまだ無理。

姉と僕は仲はいいほうだと思う。でもいまの状況でふたりでなに話したらいいんだろう、、、、、なんとなく居心地が悪い。おそらく姉もおなじというのは容易に想像できる。お互い口数も少ない。
「え! 姉ちゃん 着替えるならあっちで着替えてよ」
「一部屋しかないんだから仕方ないでしょ。姉妹なんだから別にいいじゃん」、姉がわざとそうしたのは僕にもわかる。。。。。 あたりまえだけどいままで絶対に僕のまえで着替えなんかすることなんてなかった。姉なりの覚悟というか僕の選択を受け入れたことを言葉ではなく行動で示そうとしてたんだと思う。「姉ちゃんありがとう」って思うんだけど素直に言えない。

僕は女性の下着姿をリアルで見るのは初めて。僕と姉はそっくりだって言われてたし僕もそう思ってたけど。。。。。 目の前で着替えてる姉は僕とは全然違ってた。。。。 僕とおんなじで服のしたはガリガリだと思っていた姉って細いのに柔らかそうな感じがする。透けるように白い。胸も思っていたよりもあるのは意外。僕のガリガリとは全然違う。

「なんか姉ちゃんって意外にきれいかも・・・・・」
「はあ? おそいっ! いまごろ気づいたん!? あんたの姉ちゃんはこれでも意外ともてるのよ。。。。。 ねえ真実。。。。 女の子もわるくないかもよ。。。。。」

「 どうしたの!? 真実? 」
「めちゃくちゃ気持ち悪い・・・・」
部屋に着いたころから体調がおかしかったんだけど、急に強い吐き気と目眩がして景色がぐるんぐるん回る。姉にベッドに連れて行ってもらって寝かせてもらう。高熱も出て翌朝まで朦朧としてた。ホルモン投与の副作用は最初だけはきついかもしれないと説明は受けていたけどこんなにつらいなんて。。。。。

高熱でふわふわしてる感覚のなかで考えていたことを断片だけど覚えてる。姉の身体を見たときに正直ショックを受けた。姉の身体と僕の身体って全然違う・・・・・。僕のことを知ってる人からは女の子みたいって見られてた。僕のことを知らない人からは女の子って思われてた。でもさっきの姉を見ちゃったら僕は女の子じゃない。男の子でもないし女の子でもない・・・・。大学に入って女の子に見えるのなら女の子でいいよって思うようになって楽になったけど。。。。それって結局はどっちでもないじゃん。。。。それいやだ。。。。どっちかになりたい。

翌朝熱も下がり体調もよくなった。体調だけでなく気持ちも前よりすっきりしてた。決めきれなかったけど決めたというひっかかりが正直少し残ってたけど。そのひっかかりは僕のなかで消えた。どっちでもないのは嫌だ。僕は女の子になる。結局ほんとうに最後に背中を押してくれたのは姉つまり家族。姉はそれを知る由もないけど。

翌日姉は帰った。駅まで送った。「姉ちゃんありがとう」って言おう言おうと思うんだけどなぜか言えない。駅の改札が見えてきちゃった。
「姉ちゃん・・・・・」
「ん? なに? 」
「姉ちゃん、あのさ・・・・」言えない・・・・
「だからなに? 」
「姉ちゃん・・・ 姉ちゃんの着なくなった服・・・僕にちょうだい」・・・・姉ちゃんありがとうって言おうとしたのに違うこと言っちゃったよ。。。。
「うん。。。。。 いいよ (^^)」
結局言えなかった。

僕は1ヶ月半ぶりに大学に戻り講義を受け、2週間に一度病院に行き注射を打ってもらうという生活を送った。注射のあとの吐き気目眩高熱にはかなりビビっていたけど、2回目は軽く、3回目からはほとんど感じなくなった。初回は過剰な反応が出てしまったけど、もともと身体は女性なので過剰にならなければ副作用は最初のうちだけだろうと言われていた。毎回採血され女性ホルモンの量を確認し安定すれば投与を中断して様子を見ましょうとのこと。

治療を始めると僕の身体には自覚できる変化が出てきた。一週間くらいしたら乳首の中にあったコリコリはさらに大きくなりそのコリコリは脇の下のほうにも広がるような感じと胸に圧迫感を感じ3週間経った頃にはなんとなく胸が膨らみ始めた。もともと遅い第二次性徴らしきものが出現していたのでホルモン投与でそれを促せるかもしれないと言われていたが、それがうまくいっているのかもしれない。

43kgの体重に変化はないんだけどガリガリではなく全体的に薄く脂肪がコーティングされたような感じになり身体に丸みが出てきたのは感じた。お尻が後ろに向かって少しだけ大きくなったのはジーンズの尻ポケットにサイフやスマホを入れるときに気づいた。

7月に入ると、髪の毛の指どおりがよくなって髪がツヤツヤしてきたのにも気づいた。顔もなんとなくだけど丸くなってきた。すこしだけうれしかったのは幼く見えていたのがちょっとだけ大人っぽくなったところ。他人が見たらそうは思わないんだろうけど。

もう言わないといけないよね。

仲のよい友だち全員の前期試験が終わる日に打ち上げと称して彼らを Line の group talk で招集した。場所は4月に彼らが僕のために予約してくれた居酒屋の6人個室を今度は僕が予約した。僕だけ彼らよりも早く前期試験が終わっていたので直接お店に。時間よりすこしだけ早く行って待っていた。入学直後からずっと仲のよい6人のグループ、男性3人+女性2人+僕。僕が女の子に見えること周囲が僕のことを女の子って思ってることが今回だけは役に立った。彼らに言うだけで済む。彼ら以外は僕のことを女の子って思ってるから。

何回も深呼吸した。こういうときって、前なら言ってどう思われてもしかたないじゃん的に思ってたはずなんだけど、、、、 ネガティブな反応されたらどうしようとか・・・・姉ちゃん助けてとかって思いがちになった。個人差はあるらしいがこれも治療によるメンタルの変化らしい。

「あのさ・・・・」僕は深呼吸してから5月からのことをみんなに話した。
「・・・・・・」みんなさすがに驚いてた。
「正直驚いた。。。。。 でも俺たち4月に言ったよな。まこが女の子になりたいのを受け入れるし応援するって。女の子になりたいってのは俺たちの勘違いだったけどさ。。。 女の子になりたいんじゃなくて女の子だったんだろ・・・・ おなじじゃん。俺はぜんぜん問題ない」
「だな。4:2のグループが3:3のグループになるだけだろ。なにか問題でも!? w 」
「ぜんぜん受け入れられる(^^) あたしたちふたりはここ最近のまこの変化に気づいてたよ(^^)v まさか女の子だったのにはびっくりしたけど・・・・」

余計なことを聞こうとしないで受け入れてくれた彼らにはただただ感謝してる。
みんなと別れて帰る途中 Line の Group talk のお誘いがきた。女の子二人からだ。「6人の Group talk の girls version だよ。welcome to あたしたち側♪ 」 って。

そのまま僕は夏休みに入った。通院があるため帰省はしないでそのまま東京に残った。心配してる両親とは電話では話すけど、まだなんとなく長い時間だとどう接すればいいのかわからない。だから僕は東京に残ることに少しホッとしてた。姉がうまく間に入ってくれるのはほんとうに頼りになった。
Line で「まったく世話の焼ける妹」
「まだ妹じゃない」
「あきらめろw もともと妹なんだよw 」

そして8月下旬に久々に浩一さんに会うった。
「浩一さん、ひさしぶり♪」
「まこ・・・・・。いいねえ・・・・。」
「なにガン見してるのよ? 」
「すこしだけ大人っぽくなった・・・ すこしだけだけど・・・・」
「すこしだけを強調するな」
「いいねえ。。。。 メイク。。。。」
「ここ覚えてるよね? 」
「うん」
「あたしが最初に浩一さんに意地悪されたお店」
「・・・(^^; ところで連絡してくれたってことは・・・」
「うん」

女の子に見えるし、身体も女の子なら、女の子になったほうがいいって僕のなかではわかっていたけど、決めきれなかったこと。3週間ぶりに会ったときに浩一さんに愛してもらってから治療に入ろうと思ってたこと。あのとき愛してくれたのが背中を押してもらったって思おうとしてたこと。治療はあのあとすぐに開始したけど安定してから会おうと思っていたこと。。。。。 彼にたくさん話した。

「そうか。気になってたんだけど・・・・ まこ、少しだけおっぱい? 」
「うふふ。気づいた? 」
「いいねえ・・・・ 手術はいつくらい? 」
「今年中にする予定だよ 」
「そうか・・・ なんかちょっと複雑だな・・・・ 」
「どうして? これってきっといつかこうなったんだろうし。。。。 浩一さんのせいでこうなったんじゃないし、浩一さんのために女の子になるんじゃないもの、だから安心して」
「うん・・・ 僕のためじゃないってのはちょっと残念かな・・・・」
「でも、責任はとってもらうから」
「え・・・・ 責任って・・・・」
「あたしのバージンもらってね」

帰りにほんとうに久しぶりに浩一さんの部屋に寄った。
「治療が終わってきちんとするまであたしはそういう気になれない。ごめんね・・・・」
「わかってる。すこし残念だけど・・・・」
中途半端な姿を浩一さんに見られたくない。。。。。 だけどなにかしてあげたいって今日会ったときから思ってた。。。。。
普通に話してくれているけど、ズボンのなかが僕に興奮してくれているってわかる。。。。
「あそこすごく怒ってる。。。。 あたしなだめてあげたい。今はそれで我慢して。ね。」

浩一さんに立って上がってもらって僕は正面に両膝立ちになってから、髪の毛が邪魔にならないように後ろで束ねてくるんくるんって回してゴムで結んでたら

「いいねえ。その仕草・・・・」浩一さんにいいねえって言ってもらうのは相変わらずうれしい。
すごく怒ってる浩一さんのを両手で動かす。以前よりも腕力がなくなってしまっている僕にはけっこうきつい。。。。。 こんなに力が弱くなっちゃってるんだ・・・・ 腕が疲れちゃったので口に含んで愛してあげる。
「まこ、出そうになったら言うね」
「うん。今日あたし服着てるからね。かけちゃいやよ」
「まこ、すごくきれいになったかも。うなじとか首とかすごく白くなった」
「うん。うれしい」
「まこ、一回一回口を外して返答しなくていいよ(^^; 」

僕は口が大きくないので、口に含んでいるとしゃべれないから返事するたびに口を離して返事してたけど(^^;; 全部答えなくていいのね(^^;; 浩一さんが噴き出すときってわかるからそうになったら手でしてあげて僕は横に動けば服汚さないよねって考えてたら、固くなってぐぐぐって膨らんできた。そろそろかな。「えっ」 両手で頭をぐってつかまれて口から浩一さんを出せない。

「まこ、いく」
「(むうっ! むぅむぅっ・・・) 」

浩一さんの怒ったものが入ってるから僕の口の中には隙間はほとんどないのにそこに大量の彼の精液が噴き出してきた。行き場のなくなった濃いのが口からぼたぼたってあふれてきちゃったから慌てて手の平で受けた。ウってなってしまってトイレに一直線。

「ごめん・・・・ 口の中に出すつもりはなかったんだけど・・・・ つい・・・・」
「・・・・ちょっとびっくりしただけ・・・・ あたし浩一さんのなら平気だよ」 ほんとうはちょっときつかった。どろどろしてるし匂いが強いし。。。。。
「ごめん・・・・ 涙目で僕を見上げてたから・・・・嫌だったろ・・・」 すこし嫌だったよ・・・・ 浩一さんのをトイレで吐き出したのはもっと嫌だったよ・・・・

手術の日程が決まった。秋くらいかなって僕は思ってたけど9月の初旬って決まった。入院前日に姉が上京してくれた。
「宅配便届いてる? 」
「うん。昨日2つ届いた。あそこにあるけど。なにあれ? 」
「あたしの荷物。着替えとかいろいろ。しばらくいるから」
「はい? しばらくってなんだよ!?? 」
「あんたが退院するまでいる。。。。。。 あっ、それからもう一つは真実にあげる服。あたしが着なくなったやつ。あんた欲しいって言ったじゃん。まだそんなに持ってないんでしょ? 」

姉はダンボール箱を開けて、パンパンに詰めてくれてた洋服をひとつひとつ取り出してうれしそうに説明してくれる。姉のその気持ちはうれしいんだけど、、、、僕は手術のことで頭がいっぱいで、それいまでなくてもいいんだけどって感じ。

「サイズピッタリじゃん♪思ったとおり♪」のりのりで洋服を僕にあててる。
「おいっっっーーー!! やめろよっ」
「あはは(爆) そこは、キャッでしょw 」
「人の胸つかむなっ! それにキャッなんて言うか。。。。」
「ごめんごめん。話聞いてないし。。。 なんか膨らみがあるからついどんな感じかなって(^^; 真実、治療辛くなかった? すごく変わったからびっくりした」
「姉ちゃんの目から見てもそんなに変わった・・・・? 」
「うん。たった3ヶ月なのに中学生の女の子から女子高校生くらいになってるんだもんw 」

翌日僕は入院した。姉といっしょに手術の説明を聞く。僕のお腹のなかには未成熟だけど卵巣、子宮、膣はあるので閉塞している膣口を開き、尿道と外性器を整えるんだそうだ。詳しく説明してくれるんだけど僕は聞いているだけで痛そうで元気がなくなってしまった。僕の場合は性転換手術ではないので比較的時間も長くはかからないだろうと言われて少しだけ安心した。

次の日僕は手術室に連れて行かれたところまで記憶がある。なんとなく目が覚めたのは病室のベッド。朦朧としてた。姉の顔が見えたのは覚えてるけどまたそのまま寝てしまったんだと思う。

2度目に目が覚めたときにお腹から腰回り全体的に鈍痛を感じた。まだ朦朧としてるので我慢できないような痛みではなかった。そうか終わったんだって思った。身体を動かそうとしたら激痛が走り「痛い・・・・」。その声でベッドの横に座って寝ていた姉が起きちゃった。

「真実、起きた? 大丈夫? 痛い? 」
「うん。。。。痛い。。。。」なにか話したんだけどあとは覚えてない。また朦朧として寝てしまったようだ。

僕の手を誰かが握ってる気がして目を開けた。「あ・・・・」両親がベッドの横に座ってた。手を握ってたのは母親。僕は不覚にもポロポロ泣いてしまった。母親は「大丈夫だから・・・・大丈夫だから」って涙を拭いてくれた。父親は笑顔で僕を見てた。朦朧としてた僕が次に目覚めたときは両親は帰ったあとだった。

6日目に包帯と膣の入り口に詰めてあったガーゼがとられた。まだ少し全体的に腫れている。幸いにも僕のお腹のなかにあった膣の内部は癒着してなかったらしく、切開した入り口なのか出口なのか、そこだけ癒着しないように注意が必要と言われた。僕の性器は子供くらいしかなかったけどそれでもいままであったものがないのは上から見て違う景色。なくなっちゃったんだなっていう気持ちはあるけど、それ以上の感情はそのときはわかなかった。それよりも引かない痛みを何とかしてほしいっていうほうが強かった。

一週間寝たきり。食欲はない。無理してでも少しずつ歩かないといけないみたいだけどなかなかそういう気にもなれなかった。痛みが治まってきたころ膀胱につけられていたカテーテルを外され自分で排尿する練習をするように言われた。トイレに行くために何日かぶりにベッドから降りて立ち上がってみた。ふらふらしてまっすぐ歩くのが大変。姉に支えてもらってトイレに。

尿意があるので出そうとしたら僕が思ってるタイミングよりもかなり早く出てしまう。男性器がなくなったぶんだけ尿道が短くなり僕がずっと持っていた感覚よりも短くなったらしい。それをどうコントロールしていいのかわからない。おしっこであちこちを汚してしまう。おしっこが腿の裏側を伝って床にも流れる。トイレットペーパーでまず自分についたおしっこをあちこち拭いて、床に流れてしまったおしっこを拭いてたら涙がポロポロ出てきた。今までずっとあったものがなくなっちゃって悲しいって感情じゃない。いままで感じたことのなかった怖いような心配なような落ち着かないような。きっとすごく不安になってしまってたんだと思う。

ドアを開けたら心配そうな姉の顔。「真実? 大丈夫? どうした? 痛い? ・・・・・顔が真っ青・・・ 真実!?? 」 僕はその場にへたりって座って子供のときみたいな声を出して泣いてしまった。
泣いてる僕を姉は背中から押さえつけるように抱いて「大丈夫だよ。。。大丈夫っ! ぜったい大丈夫! 」

9月中旬僕は退院した。シャワーはOKだけど入浴はしばらくNG。重いものを持ったりいきむようなことはしばらく控えること、痛みが多少あっても歩くようにって言われた。家に帰って僕がすぐにしたことはシャワー。とにかくすぐに浴びたかった。股間は怖くて洗えないのでやさしくシャワーをかけるだけ髪の毛と身体を念入りに洗ってすっきりした。

まだ午後2時。姉はひとりで買い物したいものがあるからって言って出かけた。僕は久しぶりに一人になれた。なにかを考えることはもうしたくなかったのでただ横になってぼーっとしてた。

夕方姉が帰ってきた。「真実、これ買ってきたよ」
「なに? 」
「真実の化粧品♪ あたしのと同じやつでそろえてきた」
「え・・・ 姉ちゃん買い物ってそれだったの? 」
「真実まだ痛そうだったからあたしひとりで買ってきた。。。。 教えてあげるからここに座り! 」
僕はリップくらいしかつけてなかった。というかそれ以外はほとんどしてなかった。よくわからないってのもあった。姉は教えながら僕にメークをしてくれた。
「わかった? あんまり濃くしちゃだめよ。濃くするとあんたは背伸びしすぎた女子高生みたいになっちゃうからw 」
鏡を覗いてみた。。。。 「なんか姉ちゃんみたい・・・・」
「あたりまえでしょ姉妹なんだから。というか、あたしがメークするとあたしのやり方になっちゃうからさ。似たふうになっちゃうのよ(^^; 」
「それからこれ。あたしのあんまり使わなくなったバッグ。真実にあげる。ないと困るでしょ? 」
「僕、バッグとか持たないし・・・・ スマホと財布だけだし」
「これからはそういうわけにはいかないのよ。化粧品とか女の子はいろいろ持つものがあるのよ」

翌日、僕は姉に連れられて買い物に。僕の下着や洋服や靴をえっと驚くほどたくさん買うもんだから僕は心配になって
「姉ちゃん、買いすぎ! お金どうすんだよ!? 」
「大丈夫心配ないから。お父さんとお母さんから真実の洋服とか必要なもの揃えてあげてって渡されてるから(^^) 」
「え・・・・・」

姉が帰る前日の夜、僕はベッドに横になり、姉は布団に横になり電気を消して少し話した。
「改性手続きのとき、、、、 名前はどうするの? 」
「このままがいい・・・・ 読み方もまことのままがいい」
「そっか」
「姉ちゃん、、、、 僕、姉ちゃんのこと姉ちゃんって呼ぶのおかしい? 」
「おかしい。おかしいけど姉ちゃんでいい。あたしの前では僕って言ってもいい。急には無理でしょ。。。。 姉ちゃんはこれから真実のことまこって呼ぶ。みんなにそう呼ばれてたくせに家族にそう呼ばれるのすごく嫌がってたw  でもいいよね? 」

姉は僕の返事を待ってたようだけどそのうち寝息が聞こえてきた。明日午後の便で姉は帰っちゃう。すごく心細いのと最後まで素直になれなかったことが気になって僕は眠れなかった。涙がポタポタ出てくる。以前と比べてすぐに涙が出るようになった。こんなんじゃいけないって落ち込んで明け方まで寝返りを繰り返した。こんなんじゃいけない。

「真実、早いじゃん。まだ7時前だよ・・・・ まだ痛いの? 」
「お姉ちゃんおはよ。すこし痛いけどだいじょうぶだよ。空港まで送ってく。その前にどっか行こう。お姉ちゃん半月近く東京にいたのに病院とこの部屋の往復ばっかりでどこにも行ってないじゃん。。。。。 あたしがどこか連れて行ってあげる」 僕は素直になりきれないことや変な照れをもうやめることにした。
「真実・・・・・」

「あたし先にシャワーするね。まこの着替えもここに置いとくから」姉は僕にくれた服の中から選んでくれた組み合わせと昨日買った下着をユニットバスのドアの前に置いてくれた。

僕は姉にもらった服を着て姉にメークしてもらって、渋谷で食事してから羽田空港に向かった。
「お姉ちゃん、、、、 ありがとう」やっと普通に言えた。
「まったく世話の焼ける妹w お正月には帰ってくるんだよ。普通にね。普通でいいんだからね」
「うん」
姉は搭乗ゲートに入っていった。僕は心細いのとすこしすっきりしたのと混ざった不思議な気持ちだった。

僕は翌週から大学に戻る予定。後期の講義は9月の中旬からだったからほんの少し遅れただけですむ。
夏休み明けに仲の良いともだち5人と会えるのも楽しみだし、浩一さんと会うのはもっと楽しみ。

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