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悪戯から始まった…

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中煮出汁益さんから投稿頂いた「悪戯から始まった…」。

先日の事だ。
仕事で遅くなり、車で家路を急いでいた。
田舎の一軒家。
離婚し、私に遺された負の遺産に私は住んでいる。
会社までは片道1時間半…朝6時には家を出て、帰宅するのは早くて10時…子供を育てるのにはいい環境だと購入した物件だった…

会社を出たのが11時…いくら明日が休みとはいえ、早く寛ぎたく、国道を北に向かって車を走らせていた。
突然携帯が鳴った。
非通知での着信に、出ないでいると、自然と切れた。
だがまた掛かってくる。
「もしもし?…」
「坂井さん…今何処?…」
「はぁ?掛け間違いじゃないですか?坂井では有りませんけど…」
「嘘でしょ…メールにあった番号クリックしたんですけどね?…」
「メール?メールなんかしてませんけど。」
「MAXでやり取りして、わざわざ高崎から来てるんですけどね…」
「MAX?何それ?私は今仕事帰りで運転中なんで、暇な方に付き合う義務は有りませんから。悪戯されたんじゃ無いんですか?では…」
そう言って電話を切った。

5分程車を走らせていると、また非通知で携帯が鳴った。
「もしもし?…」
「本当に坂井さんじゃないんですか?…」
「ひつこいですね…私は出会い系になんか手を出してませんよ。」
「あの…ドコモですか?…」
「違います…ソフバンですけど何か?…」
「すいませんでした…貴方が仰る通りみたいです…会話してた方のキャリアがドコモだったんですけど…メールも繋がらなくなってしまって…」
「早く帰らないと終電無くなるんじゃないですか?時間も時間だし、諦めて帰った方が無難ですよ。」
「喧嘩して…家を飛び出して来たんで帰れませんから…漫喫にでも行きます…」
「しかし酷い奴もいたもんですね。高崎から呼び出しておいて来ないなんてね。しかも私の携帯番号を教えてるなんて。確信犯ですね。」
「ですね。もやもやしてて、駅前で貰ったティッシュでサイトに…書き込みみて…メールのやり取りで…泊めてくれるっていうから飛び出して来たのに…」

「何があったのか知りませんが、鵜呑みにした貴女も悪いんですよ。初めてじゃ無いでしょうに…」
「初めてだったんで…男性に甘い言葉を掛けられたのも久し振りだったし…舞い上がってたんでしょうね…」
「近ければ食事位ならご馳走しますけど…高崎までは行けないですからね…」
「ありがとうございます…大宮まで来て、すっぽかされた女がいたって、笑ってやって下さい…」
「大宮に居るの?…」
「ええ…そごうの近くですけど…」
「食事した?私はまだだから一緒にどお?5分で着く所を走ってるけど…」
「本当に?…でも若くもないし可愛くも無いですよ…」
「気にして無いし…一人で食べるより良いかなって思ったからさ…嫌なら真っ直ぐ帰るだけだし…」
「嫌なんて…お願いします…持ち合わせもなかったし、助かります…」
「そごうの前に横付けするから来てね。黒のアルファードだからね。」
「はい…分かりました…」
話してるうちに、そごうの前に着いて、ハザードを着けて停まった。

「着いたよ…正面…」
「見えます…私の前に停まってますよ…」
電話が切れて、キャリーバックを引いた女性が近付いて来た。
小柄でスレンダーな感じの華奢な女性だ…
灯りが射し込み…顔が浮かび上がったが、決して悪くはない…愛嬌のある顔付きで、30代の前半から半ばといった感じだった。
車の前に来て、軽く会釈をしてきた。
窓を開け、
「どうも…乗って…」
「はい…お願いします…」
助手席に乗り込んで来た彼女の甘い香りが鼻をついた…

「若いし可愛いいじゃん…」
「そんな事無いです…」
「馬鹿な男が居たもんだ…お陰で私がデート出来るんだけどね…」
「恐い方かと思ってましたけど、面白い方なんで…良かったです…」
「自己紹介するね…井上と申します…47歳で罰一の独身です…」
「美紗です…34歳で…既婚です…」
「あらら…上手くいってないみたいですね…まぁ、気にしないで何か食べに行きましょうか?…何がいいですか?…と言ってもファミレスしか開いてないですけど…」
「何でもいいです…」
「本当に?…そんな事言われたら…美紗さんを食べたいとか言ってしまうよ…ハハハ」
「えっ…じゃあ…パスタで…」
「最初から言ってよ…了解しました。」
深夜までやっている、ピザ&パスタの店に向かって走り出した。

ただ黙っている彼女に…
「何があったのか分からないけど、旦那さんとはちゃんて話した?スレ違いばかりになると、私みたいになるよ…」
「もう…駄目かな…喧嘩してばかり…出てけって言われて飛び出しちゃったから…」
「懲らしめてやるんだね…嫌なら答えなくてもいいけど…原因は何?…」
「彼がいうには…私と居てもつまらないから…浮気したんだって…もう疲れた…」
「だから出会い系で…浮気相手を見付けようとしたんだ…大人しい顔して…やるね…」
「私だって女だもん…子供だって欲しいのに…もう彼が嫌になっちゃった…新しい恋を見付けて…早く別れたいって気分かな…」
「じゃあ…いい男を探さないとじゃん…いいの?サイトにアクセスしないで?…」
「もう遣らないよ…また騙されるの嫌だもん…だから…暫く泊めてくれないかな?…」
「家に?…」
「うん…家事はやるから…ねっ…いいでしょ?…」
「間違いが無いとは保証出来ないけど…私もまだ男なんでね…それて良ければ…」
「間違いって…エッチの事?なら心配無いよ…居候させて貰うんだから…その位しかお礼出来ないし…」
「最初からそのつもり?…」
「内緒…井上さん…鼻も大きいから…アッチも大きいかなって…ウフフ…」
「誰かと比べた事は無いから分からないけど、普通だよ…多分…ガッカリされそう…」
話をしている途中だが、店に着いてしまった。
取り敢えず腹拵えということで微笑みながら店に入った…

ピザとパスタ、サラダを頼み会話が弾んだのだった…
「井上さんは本当に面白い方なんですね…飽きさせないようにしてくれて…」
「そお?メインは家に帰ってからだから…まだ前菜…」
「ほら…また和ませるような事を言ってる…」
「美紗さんには笑顔が似合うからね…その笑顔に癒されてますから…ハハハ…」
和やかに…楽しく食事を済ませて、車に乗り込むと家路を急いだ…
「井上さん…聞いていいですか?…」
「んっ?何?…」
「井上さんは…自分だけ満足すれば終わりな人?それとも相手が満足してからって人?どっち?…」
「難しいね…どちらかといえば…どっちでも無いかな…」
「何それ?…」
「自分が満足するより、相手を満足させたい人だから…」
「そうなの?…」
「そうなの…満足させた上で弄びたい人…」
「そんな人居るんだ…そんな人としたこと無いな…経験人数も少ないからかな…」
「そうなの?…」
「うん…彼を含めて5人…皆自分だけの人だった…」

「美紗さんの魅力に我慢できなかったんだよ…きっと…」
「上手だなぁ…何人の女性を泣かしたんだか…私も泣かされるのかなぁ…」
「ベットの上でね…ハハハ…でも、気分じゃ無いときはこのままだから…」
「今日は?…盛り上がってるの?…」
「どうだろ…美紗さんが相手なら…いつも盛り上がるかもしれないな…ハハハ…」
「ひどいなぁ…誤魔化してるしぃ…襲っちゃうぞぉ…」
「怖い怖い…鍵閉めて寝なきゃだな…ハハハ…」
「いいもん…壊しちゃうからね…ウフフ…」
「そりゃあ困る…襲われないように考えなきゃ…」
「ねぇ…腕枕して寝てくれないかな…」
「いいよ…ってか当たり前の事じゃんか…」
「そうなの?…誰もして寝てくれなかったな…子供の時に親がしてくれただけ…」
「って一緒に寝るの?…部屋用意するけど…」

「駄目?…」
「駄目じゃ無いけど…積極的なんだね…美紗さん…」
「なんとなくねぇ…井上さんの腕の中で寝たいなって思ったから…」
「そんなもん?まぁ…いいけどね…もう着くから…狭いけど我が家…」
「緊張してきちゃった…」
「大丈夫だよ…何もしないから…弱味に漬け込む男じゃありませんよ…」
「そうなの?…私に魅力を感じないから?…」
「そんな事は無いよ…充分魅力的だよ…だから今日は腕枕で一緒に寝よう…しっかり抱いててあげるから…自分を粗末にしたら駄目だよ…」
「やっぱり大人だな…考え方が違うね…会えて良かった…本当だよ…」
「さぁ…ここが我が家だよ…好きな部屋使って構わないからね…」
車から降りて、美紗を家に招き入れた。
灯りをつけ、リビングに…ソファーに向かい合い座った。

若干緊張している美紗に…
「1階はリビング・ダイニングに洗面・浴室と和室。2階が寝室と洋室が2つ…寝室は私が使ってるけど、和室でも洋室でも…好きな部屋を使ってね…それと、暫く居るなら鍵渡しとくから…出ていく時は、ポストに入れておいてくれればいいから…」
スペアの鍵を渡してやった…
「狭いなんて…広いですよ…素敵な家具…」
「自分の家に居るつもりで構わないからね…それと、敬語は止めよう…約束だよ…」
「はい…優しいなぁ…ずっと居ようかな…」
「いつまで居ても構わないけど、ご主人とはちゃんと話しなよ…」
「うん…でも…別れるだけだと思う…向こうから連絡来るまで掛けないけどね…」
「そうとう拗れてるんだね…まぁ、私が立ち入る事じゃ無いから…シャワー浴びて…軽く飲んでから寝る?…」
「うん…もっと話したい…」
「何飲む?ビール?ワイン?ブランデー?カクテル?…」
「カクテル作れるの?…飲んでみたい…」
「分かった…用意しておくから…シャワー浴びてきなよ…キンキンに冷えたの作っておくから…出会った記念のオリジナルをさ…」

「楽しみかも…洗面は奥でいいの?…」
「出て左の左…右がトイレだからね…」
「うん…じゃあ先に浴びてくるね…覗いたら駄目だよ…」
「覗かないよ…覗くくらいなら堂々と入って行くし…」
笑いながら美紗はリビングを出た…
カクテルの用意をし久々に、シェーカーを振った…
口当たりのよい甘めで、ライムを利かせたオリジナルだ…
アイスブロックを破砕し、シェーカーを包む様に冷してやった…
暫くすると、美紗が戻ってきた…濡れ髪に…ロングシャツ1枚の姿に目を伏せてしまった…

「あっ…目を反らした…色気を感じた?…」
「元々感じてるよ…目のやり場に困っただけさ…出来てるけど先に飲んでる?…」
「ううん…待ってる…」
「じゃあ、浴びて来ちゃうから…ちょっと待ってて…」
そう言ってシャワーを浴びに行った…
シャワーから戻ると、美紗はソファーに座り…私を待っていた…
久し振りに誰かが居る雰囲気が心地好かった…
「お待たせ…さぁ…飲もう…」
カクテルグラスに注いで渡してやる…
「今日の…もう昨日だけど…出会えた事に…乾杯…」
「ありがとう…」
一気に飲み干した美紗…

「美味しい…何でも出来るんだね…凄いなぁ…」
「気に入った事だけさ…後は発哺りっぱなし…馬鹿な奴なんだよ…お代わりあるよ…」
「うん…頂戴…隣に座っていいかな?…」
「んっ?…いいよ…けど顔が見れなくなるよ…」
「いいの…側にいたいから…近くで見てたい…」
「どうしたん?…もう酔ったなんて事は無いよね?…」
「酔ったかも…井上さんに…って言ったらどうする?…」
「こいつめ…大人をからかいおって…頭をいいこいいこしてやったかも…ハハハ…」
「して…して…」
甘える様に…なついて来る美紗との時間は…とても心地好かった…
深夜も3時を回った頃…作ったカクテルも無くなり、寝ることにして寝室に向かった。

後ろかろ着いて来る美紗…
寝室に入ると…美紗はベットにダイブしていった…
「凄い大きなベット…キングサイズ?…」
「そうかな?…一番大きなタイプだよ…一人で寝るのには大きすぎるけど…」
「私が居るから丁度いいかもね…早くぅ…腕枕ぁ…」
「今行くから…逃げやしないでしょ…」
そう言って…美紗の隣に横たわった…
直ぐに美紗も横たわり…私の方を見ながら…そっと胸の上に頭を置いた…
「暖かい…ぎゅっと…抱いててね…」
「ああ…安心しておやすみ…目覚めるまで…抱いててあげるから…」
「うん…おやすみなさい…」
「おやすみ…」
すがり付くようにしがみついて美紗は寝息をたて始めた…

そんな美紗を抱きすくめる様にしっかりと支えながら…そっと額にキスをして…私も眠りに落ちた…
目が覚めると…美紗が私を見詰めていた…
「おはよう…ホントに何もしなかったね…」
「おはよ…約束は守る男だからね…良く寝れた?…」
「うん…凄く良く…安心して寝れたよ…」
「なら良かった…今日はどうする?…」
「どうしよっか…何したい?私は何でもいいよ…」
「今何時?…」
「10時だよ…」
「そっか…食材買いに行かなきゃだし…ショッピングデートでもする?…」
「うん…支度しなきゃだね…化けなきゃ表に出られないから…」
「変わんないよ…素肌が綺麗だ…化粧してない方が好きだな…」
「初めてだね…そんな風に言ってくれたの…」
「そうだっけか?…でも本音だから…」
「じゃあ…リップだけでいいかな?…」
「リップも要らない…今のままがいい…かな…」
「お世辞言っても何もないんだけど…でも嬉しいかも…」

「お世辞は言わないし…素っぴん見ながら寝てたんだからさ…化粧してる時間より…素っぴんでの時間のが長いんだぞぉ…」
「そっか…そうだよね…なんか…丸裸にされてくみたい…でも嫌じゃない…」
「丸裸にしてないし…シャツ着てるじゃん…」
「そうだけどぉ…心の事だよぉ…男性と居て…こんなに安らいだの初めてかも…」
「分からないよぉ…男は豹変するから…」
「それなら…女も豹変するよぉ…余り優しいと…その気になっちゃうから…私は特にだから…」
「怖い…怖い…その気にさせないようにしないと…さぁ、着替えて出掛けよう…」
「逃げるの上手いなぁ…ウフフ…」
同時に起き上がると、美紗が軽く頬にキスをしてきて…おどけるように寝室を出て行った…
着替えて顔を洗い、リビングに行くと…美紗は洗い物をしながら…
「もう終わるから…ちょっと待ってて…」
「洗い物なんかいいのに…」
「したいの…何も出来ないと思われたくないもん…」
「そんな風には思わないし…まるで新婚家庭の様な会話してるね…」
「ホントだ…でも…いいなぁ…穏やかで…落ち着く…こんな感じが理想の生活なんだろうなぁ…」

染々と話す美紗…妙に輝いて見えた瞬間だった…
洗い物が終わり、一緒に玄関を出た所で…隣家の住人と鉢合わせしてしまった…
「おはようございます…いい天気ですね…」
「おはようございます…そうですね…洗車ですか?…」
「ええ…たまには…此方は新しい奥さまですか?…」
「えっ…その…なんと言っていいのか…」
「お若くて綺麗な方で…羨ましいですな…おめでとうございます…」
「違いますよ…冷やかさないで下さい…」
「ご謙遜を…奥さま…これから宜しくお願いしますね…」
「はい…此方こそ宜しくお願いします…」
戸惑う私を余所に、美紗は挨拶を交わしていた…微笑みながら堂々と…

慌てて車に乗り込んでエンジンを回した…
遅れて美紗が助手席に乗り込み…車を走らせた…
「勘違いされたね…」
「まさかだったけどね…しかし参ったな…」
「何が?…」
「一番口の軽い奥さんがいる家なんだよ…一気に近所に広まる…」
「いいじゃん…私は構わないけど…」
「美紗さんが居るうちはいいかもしれないけど…居なくなったら…また噂になるな…」
「居なくならなければいいんだから…問題ないよ…」
さらっと言い退けた…
「えっ?…どういう事?…」
「井上さん以上の男性が現れなければ…いいんでしょ…だからずっと居るもん…」

「旦那はどうするの?…」
「知らない…連絡すらして来ない奴なんか…籍なんかどうでもいい…一緒に居たいって気持ちだけじゃ駄目?…」
「そんなに簡単に…後悔しても知らないよ…」
「後悔なんかしない…こんなに自然体で居られる事無かったから…棄てられても後悔しないから…」
「まぁ…時間はあるし、ゆっくり考えればいいか…なるようにしかならないんだから…ねっ…」
「そうだよね…私が一方的に気に入っただけだもんね…迷惑だよね…」
「違うよ…私も…美紗の事は気に入ってる…ただね…後悔だけはさせたく無いから…何もしなかっただけだよ…気に入ったからといって…美紗を傷付けたく無いから…」
「ホントに?…」
「本当だよ…」
「不思議だな…美紗って呼び捨てにされるのが嫌じゃないなんて…昨日会ったばかりなのに…ずっと前から一緒に居るような気がしちゃう…」
「そっか…自然に呼び捨てにしちゃってた…ごめん…このまま自然に任せよう…無理矢理気持ちを昂らせるんじゃ無く…自然に身を任せよう…時間が掛かってもいいし…突然でも構わない…ただ自然に…それじゃあ駄目?…」
「ううん…それでいい…もっと貴方の事を知りたいし…私に振り向かせたい…いつか…私だけの貴方に…」

「美紗に出来るかなぁ?…」
「出来るもん…してみせるもん…」
切なくもあり…楽しくもある会話を交わしながら時は流れていった。
ショッピングの予定が、ドライブに変わり、まるで本当の夫婦の様に過ごしている…
互いの距離が…どんどん無くなって来ていた…
遅めの昼食を済ませ、車を走らせると…美紗の携帯が鳴った…旦那からだった…
「掛かって来た…出るね…」
そう言って美紗は電話に出ていた…私は黙って頷き…カーステレオのボリュームを下げていた…
「もしもし…何?…えっ?…知らないよ…帰らない…要らない…処分すれば…もう疲れたの…顔も見たくないの…不倫相手と一緒に暮らせば…そうだよ…デート中…昨日からずっと一緒だよ…昨日初めて会った…あんたと違うもん…寝たけどしてない…ずっと腕枕しながら抱き締めててくれただけ…あんたに無い優しさに癒されてるもん…あんたとの結婚を後悔してる…別れようよ…もう無理だし…そうだよ…どんどん彼にひかれてるよ…いけない?…あんたが原因でしょ…話すだけ無駄だよ…間に人を立てるから…働くから平気だし…もう連絡してきても出ないから…解約する…じゃあね…さよなら…」
そう告げて美紗は電話を切った…
直ぐにまた掛かってきたが、電源を落とし…2度と電源を入れる事は無かった…

「いいの?…簡単に切ってたけど…」
「うん…弁護士さんに相談するから…会いたくないし…」
「本気で…ウチで一緒に暮らすつもりなんだね…」
「そうだよ…振り向かせるって言ったでしょ…貴方が私を豹変させたの…」
「そっか…なら…もう何も言わないよ…思う通りにすればいい…弁護士は知り合いを紹介するから…任せてしまえばいいさ…費用も心配しなくていいから…」
「なんで…そんなに優しくしてくれるの?…」
「何でかなんて分からない…美紗だからかもね…」
「そうなの?…」
「分からないよ…ただ…そうしたいと思っただけ…」
「駄目だぁ…頭の中も胸の中も…貴方の事て一杯になっちゃってる…」
「そお?…先に…弁護士の所に行こう…早い方がいいからさ…」
「うん…」
弁護士に連絡をしながら、車を走らせた。
微妙な沈黙が車内を包むが…美紗は運転する私を見詰めている…

そんな美紗を時折見返しながら弁護士の元へ急いだ…
弁護士の元に着いて、美紗を紹介し、相談が始まったのを隣で座って聞いていた…
美紗の提示した離婚条件は、至って簡単なものだった…
慰謝料は払える範囲内で即別れたいとの事…
今後一切連絡をして来ない事だけであった…
また、経緯説明で私の話題も出たが、善意の第三者的扱いになるという事が分かると、胸を撫で下ろしていた…
早速、弁護士から旦那に連絡を入れた…
主旨の説明と、離婚条件を提示している…納得しない旦那とのやり取りがわかる…
暫くすると、調停にするような話になっていた…
向こうも間に誰かを立てる事になったみたいだった…
ただ、今後は弁護士への連絡のみで、美紗への連絡はしないとの了承は取れた…

電話を切った弁護士から、
「今後は、こちらで処理をしますのでご安心下さい。委任状を書いて頂きますが宜しいですか?」
そう言って書類が出された。
委任状に署名捺印して戻すと弁護士から、
「井上の事、宜しくお願いします。無骨な奴ですけど、優しい奴ですから。でもね、こんなに親身になってる奴を見るのは初めてですから。貴女に惚れてますよ。」
「おい…余計な事言ってんなよ…お前は頼まれたことだけしてろよ…」
「はい…井上さんを必ず振り向かせますね…優しさは充分分かってます…」
「頼んだからな…」
そう言い残して事務所を後にした。
車に乗り込む美紗の顔が、穏やかに微笑んでくる…
「どうしたの?…ニヤけてるけど…」
「何でもない…ちょっと嬉しかっただけ…」
「何が?…」
「弁護士さんの言った言葉だよぉ…惚れてるんだぁ…」
「違うよ…何言ってんの…放っておけないだけだよ…」
「別にいいもん…振り向かせるんだから…」
「怖い…怖い…逃げなきゃ…」
「逃がさないから…」
穏やかに流れる時間がとても心地好く感じていた…

「夕飯どうする?…外食で済ませる?…」
「どっちでもいい…一緒なら何でもいいよ…」
「まだ5時か…軽井沢行ってみる?…」
「土曜だよ…いいけど空いて無いでしょ…」
「泊まる気まんまんだね…」
「だって…一緒に居たいし…想い出になるもん…」
「食事をしに軽井沢だよ…泊まるなんて言ってないし…ハハハ…」
「ズルいなぁ…」
「ともあれ…軽井沢行くからね…」
「うん…任せる…」
まるで恋人の様に振る舞いながら軽井沢に向かっていた…
軽井沢に向かう車内は穏やかで、笑いが絶えない心地好い時間だった…

1時間少しでお気に入りの店に着いた…
普通の一軒家にしか見えない店の佇まいに、
「ここは?…」
「お店だよ…そう見えないから混んで無いんだ…」
「良く来るの?…」
「たまにね…いつもは一人だけど…今日は美紗が一緒だから…オーナー驚くかも…」
「なんか嬉しいな…知らない一面が見れる…」
連れ立って店に入ると…いつも通りオーナーの出迎えがあった…
「お帰りなさいませ…お待ちしておりました…珍しくお連れ様とご一緒ですね…」
「どうも…いつものを…彼女に食べて貰いたくてね…空いてる?…」
「左様でございますか…今…ご案内致します…どうぞこちらに…」
窓際の、唯一隔離された席に案内された…いつも座る場所だ…
外が一番綺麗に見える席で…ゆったりと時が流れている…そんな錯覚に囚われる席…

「素敵なお店…」
「ありがとうございます…井上様にはいつもご利用頂いております…」
「いつも彼一人なんですか?誰か連れて来た事は無いんですか?…」
「いつもお一人で来店されております…決まってこちらの席にお座りです…」
「そうなんですか…彼の隠れ家ですね…」
「そうかも知れませんが…私共にとりましては…とても大切なお客様です…ではお料理をご用意させて頂きます…」
オーナーが席を離れると、当たり前の様に自然に食前酒が出て…前菜が並べられた…
色鮮やかな野菜に彩られた料理に美紗の瞳は輝いていた…
「じゃあ食べよう…乾杯…」
ワインを片手に…料理を食べ始める…
美紗の瞳は輝きを増し…美味しそうな笑みを浮かべながら食べている…
絶妙なタイミングで出される料理に…美紗は感動すら覚えたに違いない…

全ての料理を堪能すると…デザートとエスプレッソが運ばれて来た…
そのデザートとエスプレッソの組み合わせが何とも言えないのだ…
それを味わった美紗は…
「凄い美味しい…連れてきてくれてありがとう…また来れるかな…」
「んっ?…一緒に暮らしてれば来れるでしょ…違う?…」
「ずっと居てもいいの?…私でもいいの?…」
「振り向かせるんでしょ…違ったっけ?…」
「違わないよ…離れなくなるよ…」
「良いんじゃない?…」
全てを食べ終わった頃…オーナーがやって来た…
「お車の用意が出来ました…いつもの所で宜しいでしょうか?…」
「悪いですね…ありがとう…今日も美味しかったです…これは皆さんに…こちらが支払いで…お釣りはチップね…」

「いつもありがとう御座います…次回も奥さまとのお帰りをお待ちしております…」
「ありがとう…でもまだ奥さんじゃ無いですよ…ハハ…」
「失礼しました…お見受けした感じでてっきり…」
オーナーに案内されながら運転代行が待つ車に乗り込んでいった…
「代行さん…いつもの場所だからね…間違わないように頼みましたよ…」
オーナーに促され、代行は車を走らせ始めた…
「何処に行くの?…」
何も知らない美紗が聞いてきた…
「んっ?…家だよ…」
「方向違うよ…」
「良いんだよ…別宅だから…間違ってないよ…」
「別宅?…」
「そっ…小さなログハウス…林の中の小さな小さなログハウス…私の夢の全てが詰まってる大事な場所…」
「いいの?…私が行って…」
「美紗だから連れて行く気になった…」

「えっ…ホントに?…」
「そこで私を判断すればいいかなってね…」
「嬉しい…」
30分もすると林の中に続く林道を走っていた…点在するログハウス…その中の一軒の前で車は停まった…
「お待たせしました。こちらで間違い御座いませんか?」
「ありがとう…幾ら?…」
「本日はお店の方から頂いておりますので…お支払は必要御座いません…それでは此方で失礼致します…」
そう言い残し、代行は帰って行った。
美紗を誘い、ログハウスに招き入れた…
美紗の反応は大人しい…染々と室内を見て廻っている…
「素敵だね…ここに居るだけで落ち着くもん…スッキリとした室内に…然り気無く置かれた調度品…雑多に置かれているようで…計算されてる見え方…判断するも何もない…余計に好きになるだけ…」
「じゃあ…約束出来る?…」
「何を?…」
「離婚が成立しても…ずっと一緒に暮らして…いける?…嘘と隠し事はしないって事もだけど…」

「うん…何でも話すし…嘘もつかない…それと…離婚が成立して…停滞期間過ぎたら…籍を入れて欲しい…かも…」
「昨日会ったばかりなのに…そんな事言っていいの?…」
「うん…後悔したくない…振り向いて貰いたいし…支えていきたい…ずっと…死ぬまで一緒に居たい…」
「そっか…本気で言ってるなら真剣に考えるか…もう誰かと恋に落ちる事は無いって思ってたんだけどね…美紗の気持ちを聞いて…真剣だって分かったから…もう…感情を抑える事はしない…真剣に美紗と向き合うよ…」
「うん…時間が掛かってもいい…私を見てて欲しい…ずっと…ずっと…」
腕を掴み…美紗を引寄せ抱き締めていた…
ただ抱き締めるだけの行為だったが…美紗は嬉しそうに身体を預けてきた…
抱き締めながら…なんて華奢な身体をしてるんだ…この華奢な全身で…私に気持ちをぶつけて来た美紗を…本当に愛しく感じた瞬間だった…
「ごめんね…痛かったろ…」
「ううん…嬉しかったよ…もっと…強く抱き締めて…」
背中に手を廻し…すがり付くように抱き付いてくる…
そんな美紗を…再び抱き締め唇を重ねていた…
私を受け入れる美紗…閉じた目蓋から…一筋の泪が流れて落ちた…

気付いた私は…
「どうしたの?…何が悲しいの?…」
「違うよ…嬉し涙…こんな私を…受け止めようとしてくれてるの…分かるもん…無理しなくてもいいよ…」
「無理なんかしてない…受け止めようともしてない…愛しいと思ったからキスをした…言ったろ…もう感情を抑える事はしないって…これが今の気持ちなんだ…」
「嬉しい…井上さんに会えて良かった…離れたくない…いつまでも一緒に居たい…」
「そうだね…ずっと…死ぬまで一緒に居れたらいいね…最後は美紗に看取られて往けたら幸せだろうね…」
「いや…そんな事…言わないで…貴方が居なくなるなんて考えたくない…」
「例えばだよ…」
「例えでも嫌…」
「ごめんね…でも…順番から考えればそうなる…仕方が無い事なんだよ…歳も離れてるんだから…」
「でも言わないで…お願い…だから…」
「その事も覚悟は出来る?もう口には出さないけど…」

「分かってる…分かってても貴方が欲しい…好きなの…」
「分かったよ…もう言わないから…」
「早く離婚が成立すればいいのに…」
「何で?…」
「貴方の…赤ちゃん…欲しい…産みたいの…」
「そっか…出来たら可愛いだろうね…」
「うん…貴方と私の赤ちゃんだもん…きっと可愛いよ…」
「美紗…本当の本当に…私でいいんだね?…」
「はい…貴方じゃなきゃ駄目だよ…頭の中も…胸の中も…貴方の事でいっぱいだよ…もっと知りたい…もっと近くに居たい…」
「そっか…嬉しいよ…そんなに想って貰えるなんて…」
「私でいいの?…」
「ああ…美紗しか見ない…美紗の事だけ…愛してく…」
「嬉しい…」
「美紗…ありがとう…」
「お礼を言うのは…私…貴方に心から愛して貰えるようにするから…」

どちらからでもなく…自然に抱き合い…唇を重ねていた…
舌を絡め合う…心の奥に燻っていた欲望に火が着いた…
もう2人に言葉は要らなかった…
互いの気持ちを知った2人を縛るものは無くなっていた…
「美紗…」
「あぁ…貴方…」
華奢な美紗を抱き抱え…寝室に…互いに産まれたままの姿になり…再び抱き合う…
互いを求め合う…雄と雌の姿がそこには有った…
全身で悦びを表す美紗…
其に応える様に美紗の性感帯を責める私…
唇…耳…首筋…徐々に下に降りていった…
「あぁ…ぁうぅ…」
喘ぐ美紗を…肌で感じながら愛撫を繰り返した…
身体を震わせ感じる美紗…
その華奢な身体を包み込む様に抱いた…
甘美な香り…淫猥な音…全てが気分を昂らせ…貪るように求め合う…

交わす言葉ももどかしい程になっていた…
延々と続く愛撫に…感極まった美紗…
痛いほど怒張したぺニスに手を添え…口に含んできた…
尖端から亀頭を…丹念に…舌を絡めてくる…雁首から裏筋には舌を這わせ…ぺニスの全てを呑み込む様に…喉の奥まで喰わえ込んだ…
「ぁあぁ…素敵…硬くて…大きい…あぁ…」
喰わえながら美紗が囁いた…
「美紗…びしょびしょだよ…素敵だ…綺麗だよ…」
互いの性器を貪りあった…
我満出来なくなったのか…美紗が身体を起こし…馬乗りになってきた…
「入れて…いい?…」
「欲しいの?…いいよ…」
「欲しい…一つになりたい…我満出来ない…」
そう言った美紗は…自ら導く様に…膣口にぺニスを宛がった…ヌルッっとした感触に包まれ…美紗の中に飲み込まれた…

「あぁ…繋がってる…一つになってる…」
「ああ…繋がってるね…美紗の中に入ってる…」
「離さない…離さないよ…私の…私だけの…」
そう言いながら腰を使い…奥に奥にと誘っている…
自ら感じる部分に当たるように腰を使いながら…喘ぎ…悶える美紗の姿は…妖艶で美しかった…
締め付けもキツく…まるで私の全てを搾り取ろうとするほどである…
「美紗…気持ちいいよ…」
「私も…気持ちいい…凄いのぉ…奥に…奥に当たるのぉ…」
貪り合う2人の性宴は果てなく続いた…
何度も果てながら…美紗は私を離さなかった…
だがその性宴も…終わりの時が近付いていた…
「美紗…何処で逝って欲しいんだ?…お腹?…口?…」
「そのまま…中で…中で…逝って…熱いのを…私に感じさせて…」
「いいんだね?…中に出してしまうよ…」
「う…ん…逝っちゃう…逝っちゃうからぁ…一緒にぃ…」
「美紗…逝くよ…」
ほぼ同時に果てていた…
ドクドクと脈打ちながら…美紗の胎内で発射した…

大きい痙攣をしながら…全てを受け止めた美紗…
そのまま抱き合って唇を重ね合わせていた…
嬉しそうに私を見詰めながら唇を重ね…舌を絡める美紗…
決して自ら離れようとはしなかった…
私が身体を起こし…離れようとすると…私の腰に脚を絡めて離そうとしない…
「このままで…いたい…」
その言葉に促され…再び唇を重ねていた…
互いを確かめ合う様に…温もりを感じながら…いつまでも抱き合っていたのだった…
その日からというもの…解き放たれた2人に…怖いものは無かった…
時間さえ有れば…どちらからでも無く求め合い…互いが満足するまで愛し合った…
離婚成立も然程掛からなかった…
停滞期間が終わるのも…もう間近…今は早く入籍したいと美紗は言う…
幸いな事に…まだ美紗の妊娠は確認出来ていない…
早く子供が欲しい美紗の積極的なアプローチに…いつしか私も溺れていた…

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