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全く知らない街に家出したらお姉さんに拾われた

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もう三年前の話なんだがな。家出した理由はそれなりに家庭の事情だった。両親不仲で毎日喧嘩してて嫌になって家飛び出した。十五歳だった親の財布から抜いた一万円で全く知らない街に行った。自分の財布ぐらいしか持ってなかった。携帯は電話鳴ると鬱陶しいからおいてきた。夜の十時過ぎに電車降りたそれなりに都会だった。

とりあえずどうしようと駅前の広場にあるベンチに座って考えてた家出した高揚感が次第に収まっていっただんだん都会が恐く思えてくるまあガキだったし歳上の男や女が凄く恐く思えただいそれたことをしてしまったんだと思って悲しくなった半泣きだった俯いてると声をかけられた「なにしとん?」顔をあげるとにやにやと笑う三人がいた歳上の男と男と女だった凄く不快な笑みだった玩具を見つけた、みたいな逃げ出したくて仕方ないのに体が動かない蛇に睨まれたカエルみたいな?「なあなにしとん?」

目をまた伏せて震えた今から殺されるんだぐらいの勢いで恐かった「大丈夫やって、なんも恐いことせんから」悪役の台詞だと思ったけど今にして考えれば悪役じゃなくてもいいそうな台詞だとにかく当時の俺には恐怖に拍車がかかったまた震えたごめんなさい、と呟いた「つまんね」開放されると思った「お金ある?」

すぐにこれがカツアゲだとわかった産まれて初めての経験だ恐い恐い恐いってあの時の俺はとにかく臆病だった財布には親から抜いた一万円(電車代でちょっと減ってる)と自分のお小遣い数千円があったけどこれを失くしたらもうどうしようもなくなる金がなくても警察に行けば帰れるとか、当時の俺は思いつかなかっただからそのままホームレスになって死ぬんだと思ったないです、と答えた「嘘はあかんて。な?財布だせや」駅前の広場は他にもたくさん人がいたけど誰も助けてくれる人はいなかったドラマじゃよく聞く光景だ誰も助けてくれないでもそれは本当なんだな、と思った「なあ?」男が俺の頭を鷲掴みにする言っておくがこの三人はただの不良だけどまあ、この三人のお陰で俺はお姉さんに拾ってもらえた「なにしとん?」

それが初めて聞いたお姉さんの声だったといっても俺は向こうの仲間が増えたと思ってまたびくついたけど三人の対応は違った「なんやねんお前」「いやいや、自分らなにしとん?そんなガキ相手にして楽しいん?」「黙っとれや。痛い目見たなかったらどっかいかんかい」

「流石にガキ相手に遊んどるのは見過ごせんわ。ださ」「あ?」まあ、会話はおおよそだから。

でもこんな感じだったと思う。恐くてってどんだけ言うんだって話だけどやっぱり恐くて上が向けずお姉さんがどんな人かもわからなかった「調子のっとるな、しばいたろ」三人組の女の声だ他の二人も賛同したのか視線はそっちに向いた気がした少なくとも俺の頭を掴んだ手ははなされた「ちょっとそこの裏路地こいや」

とか、そんな風なことを言おうとしてたんだと思うけど、それは途中で終わった「うそやん」妙に驚いてた気がする声色だけでそう思ったんだけど「シャレにならんわ。ほな」関西弁の人ってほんとにほなって言うんだとか調子の外れたことを思ったそれから暫くして俺の肩に手が置かれたびくっと震えるたっぷりの沈黙の後「なにしとん?」

さっきまでの三人組みたいな声じゃなくてちょっと優しい雰囲気があったおそるおそる顔をあげると綺麗なお姉さんがそこにいた髪は長くて真っ赤だった化粧もしてて大人のお姉さんだと思ったけど今にして考えてみればあれは多分、V系だったんだろうなんにせよ綺麗だった同級生の女子なんてちっさく見えるぐらい綺麗だった「ありがとうございます」と、つっかえながらもなんとか言えた「んなもんええけど、自分アホやろ?ガキがこんな時間うろついとったらアホに絡まれんで」家出したと言ったら怒られると思って下を向いたお姉さんは大きな溜息を吐いた「めんど、訳ありかいや」

やけに言葉が汚いお姉さんだと思ったお姉さんスペック身長170越(自称)外だと厚底履いてるから175は越えてるスレンダーDカップ赤髪ロング耳にピアスごじゃらら関西人っぽい年齢不明(見た目18〜21)綺麗だと思う暫く沈黙が続いたというかお姉さんタバコ吸ってるみたいだったタバコの匂いがやたら甘かった「ああ……腹減った」お姉さんが言う言われてみれば俺も腹が減っていた家出してかれこれ五時間電車の中でポッキー食べたくらいだった「ファミレス行こか」「?」

「ファミレス。ほら、行くで」近くのファミレスに行く着いて適当に注文するお姉さんは凄く目立つ赤髪、ロング、黒服、ピアス綺麗だし、目立つ「自分なんも喋らんな。病気なん?」「ちが、ちがいます」

「ああ、あれ?恐い?そやな、よく言われるんよ、恐いって」「い、いや」なんて言おうとして否定したのかは知らんが、まあだれでもそう反応するだろ?俺はハンバーグお姉さんは野菜盛り合わせ「んで、なんで家出したん?」

驚きすぎてむせたなんでわかるんだこの人は、超能力者かとか考えたかは知らんが驚いたでも今にして考えれば解ることかもしれん夜の十時すぎに家に帰らない子供思いつくのは塾帰りで家に帰りたくないか夜遊びするガキか家出かなのにその時の俺は塾に行くような鞄持ってなかったし遊んでそうなガキに見えなかったろうから家出カマかけてきたんだろうでも当時の俺はただただ大人のお姉さんすげーって思うだけだった「家が……色々」「ふうん、そっか」「まあその歳やといろいろあるわな」

「で、どないするん?いつかえるん?」「……帰りたくないです」「そりゃ無理やろ。仕事もないし、ってか仕事できる歳なん?」

「15です」「ギリやな。家もないし金もないやろ?」「……」

それでも帰りたくなかった俺にとってあの当時の家はかなり地獄だったまあ、もっと酷い家庭はあると今ならわかるけど「一週間もしたら帰りや」「……はい」「ほんじゃ、飯食ったら行こか」

「?」「うち、ヒト部屋空いとるから」こんな経緯で俺はお姉さんに拾われたお姉さんの家は都会の駅から四つ閑散とした住宅街だった見た目とは裏腹な場所に住んでるなと思ったけど住んでるのは高層マンションの最上階だったお金持ちなんだと思った「片付けてないけどまあ歩けるから」

「おじゃまします」玄関入ると左手に一部屋右手にトイレ、浴室奥にリビングリビングの隣に一部屋「ここ、物置みたいなもんやから使って」俺は玄関入って左手の部屋に案内されたほんとに物置だった「衝動買いしてまうんよね、はは」

お姉さんが照れくさそうに笑う知れば知るほど見た目とのギャップに困惑したでもそのギャップに惹かれた「とりあえず風呂でも入ってきたら?」「はい」初めて女の人の部屋に泊まるわけだけどだからどうだって緊張感はなかったガキだったからそりゃエロ本も読んだことあったけどそんな展開になるわけないって思ってたしシャワーを浴びて体を拭く「洗濯機の上にパジャマと下着出しとるから」

見るとそれは両方とも男物だったなんで男物があるんだろうと考える以前同棲してたから?ありうるだから一部屋余ってるんだと思ったこんな綺麗なお姉さんだ、彼氏がいない方がおかしい下着とパジャマを着てリビングに行く「サイズちょうどええみたいやな、よかったよかった」「やっぱうちとおんなじくらいやねんな」「……?」

「それ両方うちのやねん。男もんの方が楽でな」途端に俺は恥ずかしくなったいつもお姉さんが着ているものを着てるのだ下着も不覚にもおっきしたいや不覚も糞もないかガキだしでもそれはバレないようになんとか頑張った中腰で「ん?んん?なーんや、お姉さんの色気にあてられてもたん?」「ははっ、若いなあ」

速攻でバレた恥ずかしさが一気にヒートする「ええよ気にせんで、なんし男の子やねんから。ほら、そこ座り。コーヒー……は飲めんか」「飲めます」「おお、君飲む口か」

嘘だ、コーヒーなんて飲めない苦いでも子供扱いされたくなかったお姉さんに一番気になっていたことを聞く「どうして、その、泊めてくれるんですか?」「そりゃもちろん」なんだそんなことかと言わんばかりにお姉さんは興味がなさそうに携帯に視線を戻して「暇潰し」

「暇潰し、ですか」「うん」「そうですか」

「なんやとおもったん?」「……?」「お姉さんが君に惚れたとでも思った?」

「いえ」「そこは嘘でも頷いたらいいボケになんねんけど、ってあ、君こっちの子ちゃうんよな」「はい」

「ほんじゃせっかくやねんから関西のボケとツッコミを勉強して帰りや」「はあ」「そしたら家のことも大概どうでもよくなるわ」

それは嘘だと流石に思ったコーヒー目の前にブラックな飲料が差し出される「砂糖は?」首を横に振った湯気だつコップを持つ覚悟を決めて口につけるうげえ「はっはっは!梅干食っとうみたいなっとうやん!」お姉さん爆笑俺は俯く「無理せんでええて。ミルクと砂糖持って来たるから」

「うちも自分ぐらいん時コーヒーなんて飲めんかったし」その言葉で救われた気がするお姉さんも子供の時があったんだな、なんて当たり前なんだけど「あの」「ん?」

お姉さんは頬杖をついて携帯をいじっていた話しかけると綺麗な目を俺に向けるまっすぐに向ける心が囚われる「どないしたん?」「あ、えと」俺自身口下手な方だしお姉さんは自分の世界作ってるような人だし特に会話は続かなかったお姉さんの部屋から流れる音楽フィーリング音楽?が心地よくて時間が過ぎるのを苦もなく感じられた「そろそろ寝るわ」

「はい」「明日はうち夜から仕事やから」「はい」

「夜からの仕事、ついてこれるように調節してな」「……はい?」「やから仕事やって。自分、もしかしてタダで泊めてもらえるおもたん?」

「いや、そんなことは、ってかその僕、大丈夫なんですか?」「平気平気。うちの店やから」お姉さんは自分の店も持っていた先に言っておくとそれはBARなわけだけどやっぱりお姉さんかっけーってなったまさかあんな格好させられるとは思わなかったけど夜から仕事で起きるのが夕方だったから俺は結局朝まで起きてたそれ事態は物置にある本棚に並べられた本を読んでれば問題なかった夕方に起きるリビングに行くと机の上に弁当があったメモで食べるようにと書かれているそして五時に起こすようにと書かれているお姉さんは寝ていたまだ四時すぎだったので先に弁当を食べた食べ終わってお姉さんの部屋の扉を開けるやけにいい匂いがした凄く緊張した手に汗がにじむ「おねーさーん」

扉から声をかけるもお姉さんは起きない意を決して中に入るベッドの上ですやすやと寝息を立てるお姉さんがいた「お姉さん、おきてください」お姉さんは起きない薄暗い部屋で目を細めてお姉さんの寝顔を覗く起きてる時に比べればブサイクだった化粧をしてなくてブサイクとかじゃなくて枕で顔が潰れててブサイクだったでもどこか愛嬌があっていうなればぶちゃいくだった間近で見てると胸が高鳴った今ならなにをしてもいいんじゃないか、なんて思い始めるそんなわけないのにそんなわけがないのに手が伸びるゆっくり静かに鼓動がどんどん大きくなるあわや心臓が口から飛び出しそうになるやめておけ、と誰かが言うがやっちまえ、と誰かが言う俺はお姉さんの頭に手を置いた見た目より痛んでない髪に手を通す撫でる「ふにゅ」それは形容しがたい寝声だったってか多分これは美化されててふにゅなんだろうけどなんだろう文字にできない可愛らしい言葉ってあるだろ?お姉さんはそんな声を出した優しく愛でるように撫でたお姉さん、可愛いなとか思いながら撫でただから気づかなかったお姉さん、もうとっくに起きていた「なにしてんの?」

怒っている風ではなく優しい寝起きのぼやけた声色だった「す、すみませんっ」逃げ出そうとした「ええよ」「撫でててええよ。気持ちいいから」

了解を得たので再び座り込んでお姉さんの頭を撫でる「うん、君撫でるの上手いな」「今日はうちが寝る時撫でててもらおかな」「はい」

十五分くらいかお姉さんの頭を撫で続けたお姉さんは心地よさそうにしていた俺もなんだかとても心地よかった「さて、支度しよか」それの終わりがきたのはやっぱり少しだけ残念だった「……なにしてるんですか?」「ちょ、動かんといて」

「いやほんと、なにしてるんですか?」「やから動かんといて」「……はい」

俺は化粧をされていた「んー、まあこんなもんか」「なんで化粧されたんでしょう」「化粧するとな、年齢がわからんくなるんよ」

「ほら、それに君うっすい顔してるし。めっちゃ化粧映えするわー」「はあ」「んで、そやなーふふふーん」

「楽しそうですね」「あんまないからなーこんな機会」「あ、これでええな」

「……冗談ですよね」「冗談なわけないやん。その顔で男もんの服着る気?」「その顔ってか俺は男です」

「どこがあ。鏡みてみ?」そこにはとても可愛らしい女の子がいましたなんて流石に言いすぎだが確かに女の子がいた化粧こええ「君若いし、女装すんなら今のうちやって」「……」

俺はいろいろと諦めた可愛らしい化粧をされて可愛らしいスカートはかされて可愛らしい服を着せられてタイツもはかされて俺なにやってんだろうもちろんヅラも被されてお姉さんの店はあの都会の駅だ電車にも乗った派手な二人組だった「お姉さん、流石にこれは」「喋らんかったらバレんから大丈夫やって」俺は喋れなくなったBARにつく普通のBARだった普通の、といってもなにが普通かわからんがイメージ通りのBARだった要はちょっと暗くてお洒落小さな店だったカウンターが七席にテーブルが一席「なにしたらいいですか?」

「とりあえずトイレ掃除から。あ、上着は脱いでな」ってなわけで俺は店の掃除を始めたトイレ掃除床の掃き掃除テーブル拭き掃除グラス磨き「お客さんが来たらこれ二つずつ乗っけて出すんよ」とそれはチョコとかのお菓子「あとはそやな。これが〜」

冷蔵庫の中のメニューを三つ教えてもらう(お皿に盛り付けて出すだけ)「んでお客さんが帰ったらグラス回収やらしてテーブル拭いてな」「は、はい」「今日はそんな客多くないから緊張せずに慌てずに、やで」

「頑張ります」「まあ自分の一番の役目はそんなんとちゃうけど」お姉さんが悪い笑みを浮かべた気がしたその意味は後に知ることとなる開店から三十分、二人組の女性が来る「おねーさんこんちゃーってなにこのこ!ちょーかわいいやん!」

「おねーさんどこで誘拐してきたん!?」「誘拐なんかせんでもほいほいついてきまうんよね」「あかんで、あのお姉さんについていったら食われてまうでー」

「いや、あの、そんな……これ、どうぞ」言われてた通りお菓子を出す。女性二人は目を丸くしていた「……男の子やん!うわあうわあうわあああああ!」

二人の女性のテンションが上がる。その後は落ち着いた女性客とお姉さんやらが話してその日は計七組のお客さんが来た入れ替わりがあったから満員にはならなかったけど「はい、お疲れ」お姉さんがジュースを出してくれるなんだかんだで疲れた主に精神的に「いやー大盛況やったね、君」

「……はあ」俺はようするにマスコットキャラクター代わりだった。来る客来る客珍しいものを見る風にってか本当に珍しいんだろうけどわいのわいのと騒ぐ「あの」

「ん?」「真っ青な髪の男性客の人、今度ホテル行こうとか言ってましたけど、冗談ですよね」「ああ、あれな」

「ほんまにホテル付いてってくれたらラッキーってなぐらいちゃう?」世間は広い俺は色んな意味でそう思った閉店作業をして家に帰るもう朝だ家に着くなりお姉さんはお風呂に直行した「一緒に入るか?」とか言われたけど盛大に断った恥ずかしくて無理お風呂から出てきたお姉さんは凄くラフだったどっからどう見てもノーブラで薄いパジャマを着ていた前のボタンを途中までしか締めてなくて胸元が思いっきり露出している「熱いわー」

思いっきり乳首がががががががが目を逸した「ああ、そや、化粧落としたるわなー」この間、服もどうすればいいのかわからないので俺はずっと女の子である化粧を落とすためにお姉さんは凄く近くに寄ってきた勘弁してください「玉の肌が傷んでまうからなー」優しく化粧を落とすお姉さん乳首が見せそうで見えない角度胸の横っかわはずっと見えてて俺はそれに釘付けだった息子も釘付けだった「よし、顔洗ってき。そのまま風呂入ってき」

「はい」急いで俺は浴室に直行したもう性欲が限界だやばい、本当にやばいそりゃしたさうん、そりゃするさだってガキだもん猿だもんそんなわけですっきりした俺は風呂から出てまたお姉さん下着パジャマに身を包むコンビニ弁当を食べてまたコーヒーを頼んだ「飲めんやろ?」「飲めます」

「はいはい」出されたコーヒーにやっぱり梅干の顔をした「はははっ、懲りんなあ」暫く時間が流れて「はあ、そろそろ寝よか」

「おやすみなさい」「なに言うとん。一緒に寝るんやろ?」目が点になったなにを言ってるんだろうと思ったそんな約束はしていない「なに驚いとん。髪撫でてくれるって言うたやん」

あれってそういう意味だったのか「丹精込めて撫でてやー」丹精込めて撫でるってなんだろう「ほら、寝るで。明日も仕事やねんし」小さく頷くお姉さんの部屋に入るあの落ち着くBGMが流れてた「奥はうちやから」

「はあ」ベッドに誘われて入り込むお姉さんの匂いがしたもうそれだけで眠れそうだった「はい」「?」

「ぼうっとしとらんで、ほら」「あ、はい」お姉さんの髪を撫でる俺よりもずっと身長の高いお姉さんの髪綺麗な髪赤い髪撫でる度にいい匂いがする「なあ」

「はい」「彼女おるん?」「いや、いないです」

「の割に髪撫でるの上手いな」「多分、犬飼ってたから」「犬?犬とおんなじか」

「すみません」「それも悪くないかなあ」「はあ」

「だって撫でてくれるんやろ?」別にお姉さんだったら犬でも猫でもワニでも蛇でも撫でる「なら犬も悪ないな」「お姉さんは」

「ん?」「お姉さんは、その、彼氏、とか」「おらんよ。おったら流石に連れ込まんわ」

「ですよね、はは」嬉しかった「でも、好きな人はおるかな」言葉が詰まる息が苦しくなったそのお陰で「そうですか」

と噛まずに言えたなんでだろう凄く夢見た光景なのに男の夢って具合なのになぜだか辛かったきっとお姉さんに好きな人がいると聞いたからだ理由はわかってた胸は苦しいなのに心地いいお姉さんを独り占めしている気がしたお姉さんの好きな人にだってこんなことはできないだろうと思ったけど俺はお姉さんの好きな人には成り代われない結局、お姉さんはその内に眠っていた泣きそうだったけど俺もなんとか眠ることができた起きると横にお姉さんがいた頭を撫でて、起きてくださいと言うお姉さんは寝返りをうって抱きついてくる心臓が一気に跳ね上がるもうずっとそのままでいたいでもお姉さんはその内に目を覚ました抱きついていることに気づくと、より深く顔を埋めた「ごめんな、ありがとう」お姉さんの言葉の意味がわからなかったけどとりあえずお姉さんが喜んでくれるならと俺はお姉さんの頭を撫でた店について開店作業とりたてて難しいことがあるわけじゃないので忘れてはいないその日も疎らにお客さんが入っていた何組目のお客だったか中盤ぐらいでその人はきた「よお」やけにいかつい顔の人だったってかヤクザだと思った「なんやねん」

少なくともお姉さんはその人を嫌っているようだった「この前の借り、返してもらいに来た」「自分が勝手にやったんやろ」「でも助かったろ?」

席に座ったのでいらっしゃいませと通しを出す「おお、この前のガキンチョか?随分変わったなあ」「?」「なんだ覚えてねえのか。助けてやったろ?」

なにを言ってるのかさっぱりわからなかったのでお姉さんを見やる。「不良に絡まれとった時、こいつが追い払ってん」なるほど、それであの三人は逃げたのか。

そりゃこんな顔に睨まれたら逃げたくもなる。「ありがとうございました」「気にすんな。お陰でこいつにいいことしてもらえるからな」

「誰がするか」「本気だ」ガキでも解る三段論法俺を助けるお姉さんを助ける強面↓それをネタにお姉さんを脅迫↓原因は俺「あの」

「ん?どうした、坊主」「……困ります」「……あ?」

「そういうの、困ります」「おいガキ」強面が俺の胸ぐらを掴んで引っ張り上げるなんでこんなこと言ってるんだろう俺はと後悔した「おいオッサン、その手離さんとキレるで?」

お姉さんがドスの低い声で強面に言うでもそれもこれも嫌だった俺が子供だからこうなったんだ「あの」強面がこっちを向くそれに合わせて思いっきり手をぶつけてやった平手で多分、グーで殴ることが恐かったそういう経験がなかったからだから平手で殴った強面は鼻血を出した「ガキ……調子に乗りすぎだなあ?」強面の恫喝に身が震えた殴るなんてことはついやってしまったことに近くてそれ以上のなにかなんて無理だった外に連れ出された俺は五六発ぶん殴られたこんな痛いことがあるんだと知ったもう人を殴るのはよそうとか考えてたお姉さんが後ろから強面を止める強面がお姉さんを振り払うと、壁にぶつかったお姉さんが痛そうな声をだしたなにを考えたわけでもなく強面に突撃するなにもできないけど許せなかった振り払われて、また殴られて「気分悪い、二度と来るか」

捨て台詞を吐いて、強面は帰ったお姉さんが中の客を帰して意識の曖昧な俺を看病してくれたどう看病してくれたかは覚えてないけどお姉さんは泣いていたような気がするごめんな、ありがとうと言っていた気がするでも、俺にはやっぱり意味がわからなかった殴られたからか、わからなかったお姉さんが泣いているのは見たくなかったから泣かないで、と手を伸ばしたお姉さんの頭を優しく撫でた気づくとお姉さんの部屋にいたいつの間にか気を失った俺はお姉さんに運ばれたらしい寝起きだからかぼうっとするでもおでこがひんやりと気持ちいい「おはよ」お姉さんはベッドの横にある勉強机みたいなやつのイスに座ってたパソコンを触ってたらしい「おはよ、ございます」起き上がろうとしたけど体が痛くてうめき声が漏れる「あかんて、今日はゆっくりしとき」

「でも、仕事」「なに言うとん。そんな面じゃお客さんびびるし、あの鬱陶しい客が二度と来ん言うてんから、うちとしては充分や。ほんまにありがとう」「君はうちの幸運やな」

「役に立てました?」「充分やって。あの客な、前から鬱陶しかってん。ああやって誘ってきてて。でも多分、ほんまに二度とこんやろ。なんせ、十五歳の子供に鼻血出されてもうたからな。メンツが立たんで」にやりとお姉さんは笑う。

「凄いな、自分。恐かったやろ、痛かったやろ」強かったけど、痛かったけどそれどころじゃなかったそんなことどうでもいいぐらいに怒っていた「別に」「かっこつけんなや。でも君」

「かっこよかったよ」嬉しいよりも照れくさい俺は布団の中に顔を隠す「なんか食べられそうなもん持ってくるわ。口ん中切れとるやろうけど、ゼリーなら食えるやろうから」ゼリーは確かに食べられたけど口の中は切れてて痛かったでもまあ「はい、あーん」

「自分で食べますよ」「ええから」「いや」

「はよ口開けろや」「はい」お姉さんが食べさせてくれたからなんでも食べれたお姉さんが食べさせてくれるなら納豆でも食べれそうだった納豆嫌い「なんか欲しいもんある?」

「欲しいもの?」「漫画でも食べ物でも用意するから。高いもんは勘弁してほしいけどな」「じゃあ」

俺はこの時も知らなかったけど殴られすぎると熱がでるらしいだから思考があやふやになって突拍子もないことを言ってしまうようだった「お姉さん」言ってから後悔したなんてことを言うんだ俺は、って「な、なんでもないです」「うちは奥やからな」

お姉さんがベッドに潜り込んでくる一緒に眠った経験もあるわけだけどその時とは雰囲気が違って俺は借りてこられた猫のように固まった「こんな」お姉さんの手が頭に触れるいつも俺がそうするように優しく髪を撫ではじめる「こんなぼろぼろになってもうてな」「ごめんな」

別にぼろぼろになるのもぼこぼこになるのもお姉さんを守れたならそれでよかったお姉さんが喜んでくれてるしちょっとでも役に立てたみたいだしお姉さんが頭を撫でるそれはとても心地いい「ほんで」「どないしてほしいん?」それに答えられるわけもなく恥ずかしくなって顔を反対側へ背けた「なんてな、はは」

「それはちょっと卑怯やな」お姉さんの手が首の下に移動するそれこそ犬猫のようにそっと撫でられてくすぐったくて体が跳ねた「こっち向いて」耳元でそっと囁かれた甘い言葉に脳が痺れた視界すらぼうっとしている中でお姉さんの方に振り向くと唇が唇に触れるファーストキスだとか思う間もなくお姉さんの舌が口の中に入ってくる生暖かい別の生き物が滑りを立てて侵入する動く度にそれは音を発して俺とお姉さんがつながっていることを証明した舌と舌が絡んでお姉さんの舌が口の中の全てを這う横も舌の裏も上も歯も口の切れた痛みも忘れてただ侵されることに集中したこれ以上ない幸福が詰まっているような気がしたお姉さんの手が俺の右手に触れて指先ですっとなぞるそれは手から全身に電流を流して意識が更に拡散していく手を握られる俺も握り返すお姉さんが手をどこかに連れていくそこで離される合図だと思ったから手を滑らせる初めて触る、女性の胸舌がすっと引いていってお姉さんが視線を合わせる「ええよ?」

小さな吐息に混ざった声で俺の消し飛んでいたと思われる理性が外れた胸柔らかな、胸手の平いっぱいに感触を確かめるためゆっくりと揉んだ手の中心部分にお姉さんの突起があってそれは揉むとかイジるとかよりも舐めたり吸ったりしたい気分が勝るでも、揉むだって揉むとお姉さんが声を殺して息を吐く「ん」それを俺が見つめていると恥ずかしそうに視線を逸した「見んといてや、年下に感じさせられるんなんて恥ずいわ」胸の内で想いが強まる何度も何度もお姉さんって呟いた胸の内で想いが深くなって俺の方からお姉さんにキスをしたとても綺麗でとてもかっこいいお姉さんそのお姉さんが俺にキスをされて小さな声をあげるとても愛らしくてとても可愛いお姉さん胸を弄られながらキスをされてだんだんと体温が上がっている気がしたでも、どうしたらいいんだろう俺はまだ経験がないエロ本の知識しかないそれは基本的に間違っているとみんな言うだから下手なことはできない突然だった突然股間に衝撃が走ったお姉さんが握ってきたのだ生で「年下にやられっぱなしは性に合わんわ」

俺が覆いかぶさっていた体勢をぐるりと回してお姉さんが俺を覆う布団はずれてはだけたお姉さんの服綺麗な胸があらわになっていた「なあ、気持ちいい?」お姉さんの細長い指が俺のを握って微かに上下へと動き始めた気持ちいいに決まってるけど気持ちいいなんて言えるはずがない俺はどういう対応をしていたのだろう気持ちいいけど恥ずかしくてその顔を見られるのが嫌で背けてたのかもしれないちらりと横目でお姉さんを見るとうっすらと笑みを浮かべて楽しそうに俺を眺めていた「なあ」耳元で囁かれる声俺はそれに弱いのか脳がくらくらと泳ぎだす「気持ちいいやろ?」

問われて、答えられるはずがないのについ口を出てしまいそうになったお姉さんは変わらず手を動かしていてでもそこに痛みはなくただただ気持ちいい「言わんとやめるで?」その言葉を聞いて凄く胸が苦しくなったやめないでほしいずっと続けてほしいくらいだやめないでください息も絶え絶えに発する「なんかいった?」お姉さんの手が止まる「やめないで、ください!」

ええこやな、とお姉さんはつぶやいて。俺の首筋をすっと舐める。その右手はまた動き始めて上下だけではなく先端を凝らしてみたり付け根を押してみたりさっと指先でなぞってみたり性的な快楽以外のものを感じていたような気がした「ぬるぬるしたのでとんで」

お姉さんの言葉に耳が犯されることは「かわいいなあ、君は」本来なら性行為の補助であるはずなのに「ここ、こんなんにして、気持ちいいんやろ?」それが快楽の全てである気がした「気持ちいです」

「もっとしてほしい?」「もっとしてほしいです」「もっと気持ちよくなりたいん?」

「なりたいです」「お願いは?」「お願いします」

「足らんなあ」「お願いします!」「どれをどないにしてほしいん?」

「僕のを、お姉さんの中に、お願いします」「……なんかいうた?」「僕のを!お姉さんの中に!お願いします!」

「ええこやな」お姉さんの声が遠ざかっていくどこに行ってしまうんだろうと不安になって目で追うとお姉さんは俺のそれを口の中に収めるじゅるりと奇妙な音を立てながらぐじゅぐじゅといやらしい音を立てながら「だ、だめ」「ん?どないしたん?」

「イキそう、です」「ええよ」俺が嫌だった現時点で既に人生の幸運を全て使ってしまったような状況だけどでも、一番の目的がまだだったから「い、嫌だ」

「ほら、だしや」お姉さんの涎に塗れたモノを手で上下に動かしつつ先を舌先で舐めながらお姉さんは俺を嬉しそうに見詰めた「嫌だ、でちゃい、ます」言ってもお姉さんはやめてくれない。

嫌だと言いながらも俺は激しく抵抗しない、できない。「お願い、お姉さん、やめて」お姉さんはじいっと俺を眺める俺をじいっと観察する声を殺して息が漏れた下腹部に集まった大量の性欲が意思と無関係に発射される体の中心が割られたような衝撃だった一人じゃ味わえない快感だったお姉さんは俺の液体から顔を背けずにいた快楽の余韻に浸りながらお姉さんを見ると俺の精液でどろどろになっていた「いっぱいでたな」

言うと、お姉さんは再び性器に口をつけ舐め取るように、吸い上げるように綺麗にしていったそれは気持ちよさよりもくすぐったさの方が上だったけどなによりも心が満たされていった「ほな、お風呂はいろか」「先入っとって。すぐ入るから」言われて、シャワーを浴びる。

湯船のお湯はまだ半分ぐらいしか溜まっていない。シャンプーで頭を洗っていると電気が消える。「入るでー」

速攻で足を閉じてちむぽを隠した。「さっきあんなんしたんに見られるの恥ずかしいん?」けたけたと笑うお姉さん。

「髪洗ったるよ。手どかし」言われるがままに手をどかしお姉さんにシャンプーをお願いした。内心未だにどきどきしっぱなしだったけどそれ以上に俺は後悔していただって、もうできるチャンスはないだろうからお姉さんとできるチャンスを俺の逃したのだ「流すでー」

人に頭を洗ってもらうのは気持ちいい流されて、溜まった湯船に二人して使った「どやった?」「なにがですか?」「言わんでもわかるやろ」

「お姉さんってSですよね」「君はMやろ?」「みたいですね」

ごぼがぼごぼお湯に隠れたいけどそうもいかない「一週間まであと四日やなあ」「それは……」それはお姉さんが決めたことじゃないですか、と繋げたかったけど俺にそんなことを言う権利はなかったなにせこのあともずっとここにいたらそれはとても嬉しいことだけど俺は沢山のことでお姉さんに迷惑をかけるだろうから「ま、また次があるやろ」

なんのことだろうと首を傾げる「ん?いや、したくないならええねんけど」「え」「うちは君みたいな可愛い子好きやからな、別にええよ、うん」

「は、はい」男ってのは現金な奴だ男、ってか息子、ってか次があると教えてもらってすぐにおっきくなりやがる「ほんま、若いなあ」にやにやとお姉さんが笑っている恥ずかしくなって俯くけれどそれは同時に嬉しくなって微笑んでしまったことを悟られたくなかったからでも、お姉さんには好きな人がいる風呂から出て、お姉さんの部屋へ俺は家にパソコンがなかったからお姉さんがパソコンで遊んでいるのに興味深々だった「なに見てるんですか?」

「これ?2ch言うてな」因みに2chもお姉さんから知ったお姉さんと馬鹿なスレを覗いて笑っていたお姉さんは話始めると話上手でスレのネタに関連した話題をこっちに振ってくるそれに返すだけで話のやり取りが進むそういうのはBARの店長だけあって上手だった暫くして眠ることに流石に翌日は仕事に行かなければならない「僕も行きますよ」「気持ちだけでええよ。辛いやろ?」

辛いとかそんなんじゃなくてお姉さんと一緒にいたいだけなのにと思った「君はほんま可愛いなあ」と思ったら口に出てた「ええよ、やけど仕事はさせんで。それやと化粧できんし、まだ腫れとるからな」二人で一つのベッドに寝転がるこのまま時が止まればいいのにこのまま日課にしてしまいたい行事お姉さんの頭を優しく撫でてお姉さんが眠るまで隣にいることうとうとするお姉さんの横でお姉さんが心地よさそうに震えるのを見てられること「気持ちいいですか?」

「それさっきのお返し?気持ちいいよ、もっとして」撫でていると心が安らかになるなんでか、お姉さんよりも優位に立った気がする「お姉さんも可愛いですよ」「君に言われたないわ」

「ほんとに」「はいはい……ありがと」本当にたまらなく可愛いからいっそのこと撫で回して抱きしめ尽くしてむちゃくちゃにしたくなるけどお姉さんはそのまま寝入っていくから俺も暫くして眠った店はその日繁盛していたそれもどうやら俺が原因らしい「大丈夫やったん?なんか大変やったんやろ?」

そんな調子のお客様がたくさん来た聞いてる限りだとその時そこにいたお客様がmixiかなんかで呟いてそっから馴染みの客が全員来たらしいだから満員で「ほんまごめん、あとでお礼するから」「いりませんよ、そんなの」お姉さんは罰が悪そうにしてたけど手が足りないっていうんで俺も手伝うことになった俺の顔はまだ腫れててそれを見ると女性客は慰めてくれて男性客は褒めてくれた「あいつも吹っ切れたみたいでよかったなあ」

気になる会話をしていたのはテーブル席の三人客だった「吹っ切れた、ですか?」お姉さんに渡されたカクテルを置く「だって君を選んだんだろ?あいつ」選んだ?「ん?付き合っとんちゃん?」

お姉さんが俺と?……男として見てくれてるかも怪しい。「吹っ切れた、が気になるんですけど」「ああ、それは……なんでもない」

お客様が視線を落としてはぐらかす。肩を落として戻ろうとしたら、お姉さんが仁王立ちだった。「余計なこといいなや」

とても怒っているようだった。お姉さんは俺の頭にぽんと手を乗せて「帰ったら話すわ」と言ってくれたそのあとも仕事は続いてでもどことなく仕事に身が入らないといっても、ミスをするような仕事内容でもないからいいけどお客さんが話しかけてきてもぼうっと返事を忘れてしまうくらい家に帰るまで気が気じゃなかったお姉さんの話っていうのは十中八九俺が知りたいことだろうお姉さんが好きな人のことだろうから家に帰ってお風呂にも入らずお姉さんは飲み物を用意するもちろん俺はコーヒーを頼んだ「飲めんくせに」

「飲めるようになります」「ええやん、飲めんでも」「嫌です」

「子供やなあ」子供扱いされてついむくれてしまう「はい、どうぞ」差し出されたコーヒーうげえ「それで、話してくれるって言ってたことなんですけど」

「話逸したな」ははっ、とお姉さんはいつものように快活に笑って口を開く「好きな人おるって言うたやん?その人のことやねんけどな」「手っ取り早く言うけど、もう死んどんねん、そいつ」

「なんつーか病んどったからなあ。死んでもた」「ここで一緒に暮らしとった。BARはそいつと一緒に初めてんよ」「親友やったし、同時に恋人やった」

「たったそんだけのありきたりな話や」「なんで死んじゃったんですか?」「さあな。遺言はあったけど、ほんまかどうかわからんし」

「まあ、そいつが言うには、恐かったんやて」「うちを幸せにできる気がせんって」「想像つくんかどうか知らんけど、うちもそいつもろくな家庭で育ってないねんよ」

「うちは親から虐待受け取ったし、そいつは親に捨てられてたし」「十六ん時に会って、似たもの同士やからか気が合って」「二人で金貯めて家借りて、店も出した」

「けっこう上手く行っとってん」「あいつはなにが恐かったんやろなあ……幸せにしてくれんでも、一緒におってくれるだけでよかったんに」「あいつの保険金でこの家は買い取った。なんか、あいつが帰ってきたらって考えるとな」

「ありえへんのやけど」「……まだ好きなんですか?」「どやろな。うち残して勝手に死んだアホやから、まだ好きか言われたらそうでもないかもしれん」

「やけど忘れられへんねん。あいつのこと」それは十五歳の俺には身に余るとても重たい過去だった「まあ、そういう話。たいしておもろないから話すのは好きちゃうんやけど」「……君、うちのこと好いとるやろ?」

「あ……はい」「やから、君には話とかななって」「うちを狙ってもいいことないで、ってな」

「……関係ないですよ、そんなこと」「俺はお姉さんのこと、好きですし」「お姉さんがこうしていてくれるなら、俺はそれだけで充分です」

「無理やん、それも」「こうして大人になるとな、子供をそんな道に引っ張るんがアカン、ってことぐらい思うんよ」「君にはどんなんか知らんけど家族がいるし、なにより未来があるからなあ」

「うちみたいな女にひっかかっとったらあかんねんって」「引っ掛けたんうちやけどさ」「お姉さんは俺のこと嫌いですか?」

「嫌いなわけないやん」「じゃあ、いいじゃないですか」「来年、というか暫くしたら高校生です。高校卒業したらこっちに来ます。それからじゃダメですか?」

「……」お姉さんが口ごもるなにを考えているんだろうお姉さんが考えていることなんて一つもわからない俺が子供だったからなのかお姉さんが特殊だったからなのかお姉さんはたっぷりの間を置いてええよ、と答えたけれどどうしてだろう、不安が拭えないええよ、と言ってくれるならどうしてお姉さんはそんなに寂しそうだったんですか?「今日が最期やな」「最期じゃありません。暫くしたら会いに来ます」

「そやったな。ま、とにかく」「今日は遊ぼか!」「でもお店は?」

「自営業はな、融通聞くねん」「どこに行きましょうね」「映画なんてどない?」

「いいですね」「よし、じゃあ早速!」「化粧はしませんよ」

「ええやん、あれ可愛いやん」「俺は男ですから」「今だけやで?三年後はできんぐらい男らしゅーなっとるかもしれんで?」

「それでいいです」「ったく、ケチやなあ」なんとか化粧をされずに出かけることとなる初めてのお姉さんとデート映画を見て、ご飯を食べて、ゲームセンター行って楽しくないわけがなかった夜はお姉さんが料理を作ってくれることになり帰りがけにスーパーで食材を買い込んだ「こう見えて料理には自信あんねん」

「楽しみにしてます」「ほんまかいや。君どうも感情薄いからなあ。だいたい、いつまで敬語なん?」「癖なんで」

「律儀な子がいたもんやわ」慣れた手つきで食材を調理していく野菜を切って、肉を切ってしたごしらえして、炒めて一時間ぐらいで料理が出された「どないよ」「おお……予想外」

「は?なんやて?」「予想通りな出来栄え」「それはそれでええ気分せんわー」

実際、料理は美味しかったというか料理の美味さよりなによりもお姉さんのエプロン姿が一番刺激的でご飯どころじゃなかったなんというか、お姉さんってほんと綺麗だなあ、と「ごちそうさまでした」「お粗末でしたー」洗い物を手伝いながらふと思うこんな風に生活できるのも、もう暫くはないんだと三年少なくとも三年は遠いところに居続けることになるたまに会えてもそれだけだろうなによりお姉さんは本当に俺を待っていてくれるんだろうか?不安が顔に出ていたのか、お姉さんが後ろから乗っかかってきた「な」

「はい」「うち、好きな人できてん」「はあ」

「気のない返事やな。告白されとんねんで?」「……嬉しいですよ」「こっち向きや」

「はい」触れるかどうかの小さなキス「ほんまに、好きやで」お姉さんと初めて会った頃のように俺はまた動けなくなったこの人はどれだけ俺の知らないことを知っているんだろう別々にお風呂に入ってゆったりとした時間を過ごす何度でも挑戦するがやっぱりコーヒー「さああ飲めるでしょうか!」

お姉さんはノリノリだ因みにまだ飲めたことはないごくり、と喉を通すあれ?「これ、飲めます」「やったやん!」「というかこれ、いつもと苦味が違います」

「うん、それについては謝らなかん」「?」「うちよう考えたら濃い目が好きでな。君が飲んどったんめっちゃ濃かってん。やから普通のお店レベルに薄めてみた」

「……はあ」「ま、まあええやん、飲めたんやし。ほら、最初にきっついのん経験しとくとあとが楽やん?な?はは……怒った?」「別に怒りませんよ。ちょっと、肩透かしな気分です」

「よかった」時間は過ぎるお姉さんといられる、短い夜「ほな」寝よか聞きたくない言葉は当たり前にやってきたお姉さんは奥俺は手前七日間続いたお伽話も今日で終わる明日、目が覚めたらお姉さんが仕事に行くついでに俺は帰る嫌だ帰りたくないずっとここにいたいそう考えても意味がない言えない気持ち言ってもお姉さんが困るだけだ撫でる髪は今日も柔らかいお姉さんの綺麗な髪は今日もいい匂いがするずっと撫でていたいずっと傍にいたいどうして俺は十五歳なんだろうなんてどうしようもないことに苛立ったお姉さん、お姉さん「なあ」

答えられなかった今口にしたら、なにかを言葉にしたら一緒に涙まで出てしまう「この前の続き、しよか」「目、つぶってや」言われたままに目をつぶる布団が浮いて、冷たい空気が入り込んできたぱさり、と絹擦れの音が聞こえた「ええよ、開けて」

カーテンの隙間から通る傾いた月の光がお姉さんを照らしていたそれはとても幻想的で物語の中だけでしか見られない存在に思えた肌が白く輝いて髪が淡く煌めいて「綺麗です」「ありがと」「うちな、この前みたいなんも好きやけど、今日は普通にしたいかな」

「はい」「やから、今日は君が頑張ってな」「はい」

「ははっ」「ええこやな」キスお姉さんが上でこそあれ重ねるだけの普通のキスをしてお姉さんは横になった俺は興奮の中で混乱することなくきっとそれはお姉さんのお陰なんだけど自分からお姉さんにキスをする感情をいっぱい込めてキスをする好きという気持ちが伝わるように伝えるようにキスをする舌を入れてお姉さんがしてくれたみたいに舐めあげていく乱雑にすることなくゆっくりと愛でるように全ては愛でるためにたまに、お姉さんが息を漏らすたまに、お姉さんが体を震わす舌と舌がもつれあい唾液がお姉さんと行き交って一つに溶けていく「好きです」

離れて囁くと意外にもお姉さんは呆気にとられて恥ずかしそうに顔を背けた「知っとるわ、アホ」本当に、俺は心からお姉さんが好きだお姉さんの胸に手を伸ばす触れるのは二度目それでも喜びは尽きない男の喜びが詰まっているようだったでもなによりもお姉さんの胸だからこんなにも嬉しいんだろうと思った触れると、それが丁度性感帯に当たったのか「んっ」お姉さんが喘ぐ既に乳首は固くなっているように思えたその判断がつかない辺り童貞だけどそんな気のする固さだった口を近づけていって、舌先で舐めるお姉さんがぴくりと跳ねた嫌がられることがないと知って、気が軽くなる突起を口に含んで小さく吸うお姉さんの体が小さく喜ぶ口の中で転がすように遊んだどうしてそうしたくなるのかわからなかったけど、すぐにわかった「んぅ」

お姉さんが喘ぐそれはきっと感じてくれているからだ俺はお姉さんが喜ぶことをしたいもっと、お姉さんを感じさせたい胸を触りながら、そこに意識する全く未経験の、そこもっと下にある未知の領域触っていいのだろうかと考えて、振り払うここまでしてくれていて、いけないはずがないそれをお姉さんに聞くのはきっといいことじゃない右手をお姉さんの太ももにあてたそれだけで感じ取ってくれたのか、少しだけ本当に少しだけど、お姉さんは足を開く緊張するこの上なく緊張する色んな意味で爆発しそうだけれど理性で必死に抑えつけた欲望のままに暴走したら、お姉さんを喜ばせられない気がしたけど、お姉さんはそんな俺はお見通しだと言うように両手で俺の顔を引き寄せて、耳にキスをした後「さわってええよ」細く囁いたいっそのこと一気に結合してしまいたくなったがそれを止めたのは理性というよりも多分、愛情だった太ももからなぞるように手を持っていきそこに触れるそれだけでお姉さんが震えて既に溢れた液に導かれるまま俺はゆっくりと指を入れていくお姉さんの声が次第に膨らんでいく声を殺すのも、億劫なほどに指を埋めた肉厚のはずなのに指に埋もれた肉厚と考えてしまうのはそれだけ女性器の中が神秘だからなのかどこをどうすればお姉さんが感じてくれるのかわからずひとしきり指を動かしてみるたまに、だけどちょうどいいところなのか一際お姉さんが喜び震える場所があったそれを幾度も試してどこなのか突き止めてようやく場所がわかって押し上げるお姉さんの腰が浮く明らかに違った声色が響く気持ちよさのあまり綺麗から遠ざかった声を漏らすだけど、俺にはやっぱり綺麗だったとてもとても綺麗だった綺麗という言葉しか思いつかないことが申し訳なるくらいもう一本指を入れてお姉さんが一番悦ぶところを押し上げる救い上げるように引っ張り出すように「だ、めっ」お姉さんが発した言葉はあの日俺が発した意味と同じなのだと知ってああ、そうだね、お姉さんと俺は納得したこれはやめられないあの時のお姉さんの気持ちがわかる遅れて共感できたことが嬉しかったお姉さんはこんな気持ちで俺を攻めていたのだろうどこか嗜虐的な、歪んだ気持ちでだけどだけどきっと今の俺と同じような気持ちだったと信じたいもっと、もっと、喜んでほしいと願う心があったのだろうと掻き回す指に連鎖してお姉さんが声を出す偽りのない性的な声に興奮も高まっていく気づけば汗でぐっしょりと湿っていた指を動かす度に淫らな音が響き渡る自分の行いで快楽に身悶えるお姉さんが愛らしいもっと、もっと愛でていたい好きという気持ちに際限がないようにずっとこのままでいたいと思う強く、抱きしめて「もうっ」

荒く、かき乱して優しく、囁いて「好きです」「んんっ――」糸切れた人形のようにお姉さんが固まる腰を中に浮かせたまま、電気信号のように身体が跳ねたくて、と横たわったお姉さんは顔を腕で隠して息を荒くしていた「ははっ」

荒げた息の間でお姉さんは「イカされてもたわ」少女のように、照れていた「お姉さん」「ん?」

「入れていいですか?」「え、う、今?今なあ……」当時の俺にはお姉さんがなんで躊躇うのかわからなかったそれも、今、という限定で今ならわかるけど「よし、ええよ、入れて」

なにかしらの覚悟を決めたお姉さんに了承を得て俺はパンツを下ろしてそれを出す「ゴムだけはちゃんとしよな」「もちろんです」「つけれる?」

「授業で習いました」冷静に答えてみるものの渡されたゴムを上手くつけられない「ははっ、こういうとこはやっぱ初物やな」「初物って」

「ええよ、つけたる」「すみません」膝立てをして性器を晒す恥ずかしさが二乗して襲ってきたお姉さんは俺からゴムを取ると「これも男のこの夢やったっけ?」

と聞いてきたなんのことだろうと思っていたらお姉さんはゴムをはめるより前に俺の興奮したそれを口に含んだわざとだろうか激しく音を立てて、寧ろそれが目的のように吸い尽くすこのまま続けられたまたイってしまう「お姉さん、やめ、て」「わかっとるよ」今回は素直に引いてくれたので安心するお姉さんはゴムを取り出してなにかをしているするとまた俺のを口に含んだ気持ちよさに震えるがそれ以上に違和感があったどうやっているのは不思議だけどお姉さんは器用に口でゴムをつけた「ふう、上手くいった」

「どうやるんですか、それ」「君は知る必要ないやろ、男やねんから」「そりゃそうなんですが」

「まああれやな。男もアホなこと覚えとるように、女もアホなこと覚えんねん」「そういうもんですか」ちょっと雰囲気が外れてしまったかに思えるが俺は童貞で、なんだかんだでしたくてたまらない猿だお姉さんを押し倒す「もう我慢できないです」

「そやな、ええよ」自分のを持ってお姉さんの穴にあてがったここか?「もうちょい下やな」ずらすと確かにそれらしき窪みがある「うん、そこ」

色んな感情が渦巻く中俺はゆっくりと腰を落としていったどんどんと沈み込んでいく中入れる具合に反応してお姉さんの息が吐き出されるゆっくり、ゆっくり中はうねっていて奇妙だったこんな快楽がこの世にあったんだと素直に感動した暖かくて心地よい神秘の世界お姉さんの全てが詰まった、一つの秘境さっと血の気が引いたやばいやばいやばい「うあっ」冗談だったらやめてほしいけどなによりも俺が一番冗談じゃないと知っているきょとんとしたお姉さん恥ずかしくて速攻目を逸したお姉さんはそんな俺を見て笑うでもなく「しゃーないしゃーない、初めてやねんから」と言ってくれた「したりんやろ?もっかいしよか」

その言葉だけで再び性欲の熱が沸点を目指す「あ……そのゴムラストや」地獄に突き落とされる言葉ってこういう言葉かもしれない。「ま、えっか。安全日やし。中に出したらあかんけど」

思考が固まった「はい、抜いて」言われるがままに抜くと、お姉さんが体を起こしてゴムを外す「……生は恐い?」「いや、あの、子供……」

「まあできんやろうけど、そやなあ。君って今なんのためにエッチしとるん?」「それは」単純に気持ちいいからだけど多分、それ以上にお姉さんとなにかを残したいから「子作りのためちゃうやろ?やから、子供は気にせんでええよ」

「それに、まあ、できんやろうし」お姉さんはそれをとても悲しそうに呟いたガキとはいえ、なぜそんなに悲しそうなのかと聞く気にはなれなかった嫌な想像しか浮かばないけど「うちは君と、ちゃんと繋がりたい。やから、しよ?」「はい」

お姉さんは再び横になって二度目ということもあり、スムーズにその場所へと持っていき先ほどとは打って変わって一気に突いた根元まで挿入されると様々な感情が浮かび上がる喜び、悦び、期待そして、不安最期の感情を振り払うように一心不乱で腰を動かした突くたびにお姉さんは喘ぐ見られまいと顔を背けてかなぐり捨てて動き続けるお姉さんに全てを受け取って欲しくて好きだから、ずっと一緒にいたいけれど、お姉さんとずっと一緒にいられないお姉さんはいつかまたと言ってくれたけどお姉さんは本当にそう思ってくれたのだろうかだとしても、お姉さんは綺麗だからかっこいい男が現れたりするだろうそんなの嫌だ俺はお姉さんとこうしていたい仕事して、遊んで、髪を撫でて突く力が強まるのは、不安を吹き飛ばそうとする度合いだ突くだけでなく、沢山キスをしたこれが夢じゃないかと疑いたくないこれは本当のことだったと、なによりも自分に覚えててほしいなんの壁もなく一つになっているお姉さんと一つになっているなっていたいお姉さん性器に溜まる欲望が急速に炙る限界が近い「イキ、そうです」「うん、イキな」「お姉さん」

「ん?」「好きです」お姉さんは突かれながらも「うちもやで」

と微笑んだどくどくと溢れる熱量がお姉さんのお腹にぶちまけられて冷えていく疲れ果てた俺は倒れこむように横になった「気持ちよかった?」「はい……お姉さんは?」「気持ちよかったにきまっとるやんか」

「よかった」安心する俺のしたことは喜んでもらえたお姉さんに頼まれたのでティッシュを取るああ、そうか、こういうとこにも気を付けないとお姉さんがティッシュで俺の精液を拭き取った「こうせんと布団が汚れてまうからな」「もう今日はこのまんま寝よ」

お姉さんが裸のまま抱きしめてきて足も絡めてくるそれはつまりお姉さんの胸があたり太ももにお姉さんの性器があたり俺の性器も擦れるということで「おお、もう復活したん」「いえ、大丈夫です」「……ええよ、いっぱいしよか」

結局、寝るまでに後三回した合計すると五回も数時間で出したってことになるわけだから若いって凄いな、と思う翌日昼過ぎに起きた俺はお姉さんに黙って部屋の掃除を始めたトイレ、お風呂、玄関、物置、キッチン、リビング最期にお姉さんの部屋「……なにしとん?」「掃除。お世話になったので」「生真面目やな、ほんま。こっちおいで」

「はい」寝転がっているお姉さんの横に行くと、頭を撫でられたええこやな、といつも口調で嬉しかったからお姉さんの頭を撫で返すええこやな、とお姉さんを真似て「……関西弁へったくそやな」「そうですか?」

「なんかイントネーションがちゃうわ」「難しいですね」「今のまんまでええよ」

「君は君のまんまでええよ」「はい」お姉さんが仕事の支度を始めたら帰るのはもうすぐだ家に帰ったら両親は怒るのだろうけど、どうでもいいそれだけ価値のある人に出会えた「行こか」

それには答えられずただ引かれた手に連れられて外に出る家を出て近くの駅へそこから都会の駅まで僅か十分お姉さんはずっと手を繋いでてくれたお姉さんの手はとても暖かった白状するけど俺は既に泣いていた声を殺して俯いて泣いていることを悟られずに泣いていたきっとお姉さんはお見通しだったろうけど都会の駅に着く俺の家はここから本当に遠い「暫くのお別れやな」「ありがとうございました」「今度はいつ来る?」

「夏にでも来ます。速攻バイトして、お金貯めて」「そっか。ほんじゃ、待っとくわ」「あの、これ」

「ん?」「携帯番号です。電話、くださいね」「うん、電話するわ」

嫌な予感しかしなかった今ここでお姉さんの手を離したら二度と会えなくなるような気がした「お姉さん」「ん?」「ごめんなさい」

「なに謝っと……」俺よりも身長の高いお姉さんの肩を掴んで引き下げて無理矢理キスをしたそこはまだ駅のホームで人目がつく長い時間のように思えてそれは一瞬のことだった「強引やな」「ごめんなさい」

「嫌いちゃうけど」「すみません」「お返しっ」

今度はお姉さんの方からキスをしてきたその時間は本当に長かった二分、三分?お姉さんは白昼堂々と舌を入れてきて人目も気にせずに没頭した俺もなんだかだんだんどうでもよくなってきて人目よりもなによりもお姉さんの気持ちに応えたくてだってお姉さんは俺よりもずっと大人でお姉さんはとても綺麗な人でBARの店長とか格好良い職業でモテないわけがないこんな一瞬、奇跡に違いない夢でないことがいい証拠だだからきっとお姉さんは俺を忘れる俺はいつまでもお姉さんを忘れられないだろうけど「大好きです」「うちもやで」「また来ますから」

「うん」「絶対に来ますから」涙が止まらないこの約束が嘘になると思ってしまってずっと涙が止まらない電車が来るお姉さんが微笑む俺の頭を撫でる俺は泣きじゃくったただのガキで駄々をこねるただのガキだ電車が扉を開ける中に入る泣くなや、男の子やろ?扉を締める合図が響くお姉さんが僕を抱きしめるほんまにぎゅうっと強く、抱きしめるほんまに車掌の警告が響く大好きやでけたたましいサイレンが鳴るありがとうお姉さんが離れるドアが締まりかけた頃合でお姉さんは快活に微笑んだ目尻に込めた涙を無視して「バイバイ」

と別れの言葉を口にした家に帰ると鬼の形相をした両親に迎えられたがーがー怒っていたけど、なぜだろう俺はそれがとても嫌だったのに、ふと思った二人も子供なんだろうな、ってお姉さんがお姉さんだったようにお姉さんだけどお姉さんじゃなかったように大人だって子供なんだな、って「俺さ、二人が喧嘩するのが嫌で家出したんだよ」そういうと二人は黙ってしまった喧嘩の原因ってなんだろう考えてみれもどうでもいい頭の中でお姉さんが離れないお姉さんがいつまでもそこにいるお姉さんは、そこにいるけど俺の携帯はいつまでも鳴らなかった高校に無事入学して、夏バイトをしてお金を貯めて、お姉さんに会いに行く夏だけど、相変わらずお姉さんから着信は来なかった学校の友達もできた好きな人はできなかったけどというかお姉さんを知って他に好きになれるとか、無理だろう結局、俺はお姉さんに会いに行かなかった臆病だったから?不安だったから?答えはまあ、三年後

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